ホーム » 投稿 » 35-180,181,182 K クリニックに勤務する管理栄養士である。患者は、70 歳、女性。重度の関節痛と体力低下によって数年前から通院できなくなり、医師が往診している。

35-180,181,182 K クリニックに勤務する管理栄養士である。患者は、70 歳、女性。重度の関節痛と体力低下によって数年前から通院できなくなり、医師が往診している。

スポンサーリンク


次の文を読み「180」、「181」、「182」に答えよ。
K クリニックに勤務する管理栄養士である。患者は、70 歳、女性。重度の関節痛と体力低下によって数年前から通院できなくなり、医師が往診している。この度、腎機能低下が認められたため、医師からエネルギー 1,400 kcal/日、たんぱく質 40 g/日、食塩 6 g/日未満の食事について、在宅患者訪問栄養食事指導の指示があった。屋内での生活はかろうじて自力で行えるが、買い物や食事の準備は近所に住む娘に頼んでいる。摂食嚥下機能に問題はない。身長 150 cm、体重 44 kg、BMI 19.6 kg/m2
、血圧 145/90 mmHg。空腹時血液検査値は、ヘモグロビン 11.2 g/dL、アルブミン 3.6 g/dL、血糖 82 mg/dL、尿素窒素26 mg/dL、クレアチニン 0.80 mg/dL、eGFR 54.1 mL/分/1.73 m2。

 

35-180 初回の在宅患者訪問栄養食事指導の時に、娘からいつも作っている食事内容のメモをもらい摂取量を把握した(表)。準備された食事はほぼ摂取し、間食はほとんどしない。この内容から優先すべき問題点である。最も適切なのはどれか。 1 つ選べ。

⑴ エネルギー摂取量が少ない。

⑵ たんぱく質摂取量が少ない。

⑶ 野菜摂取量が少ない。

⑷ 食塩摂取量が多い。

 

35-181 今後の食事に対する具体的なアドバイスである。最も適切なのはどれか。 1 つ選べ。

⑴ 煮物を炒め物に替えるなど、油脂類の摂取を増やしましょう。

⑵ 朝食に卵 1 個程度を追加しましょう。

⑶ 朝食にトマト 1 / 2 個程度の野菜を追加しましょう。

⑷ 昼食のみそ汁をやめましょう。

 

35-182 翌月に、再び在宅患者訪問栄養食事指導を行った。娘より、「最近、母の食欲が低下してきたようだ。」との訴えがあった。対策を相談していたところ、患者から「昔のように、パンにバターをたっぷり塗って食べたい。」と言われた。これに対する返答である。最も適切なのはどれか。 1 つ選べ。

⑴ はい、たっぷり塗ってもらいましょう。

⑵ バターを 5 g に決めて、塗ってもらいましょう。

⑶ バターではなく、マーガリンをたっぷり塗ってもらいましょう。

⑷ たっぷり塗ってもらうのは、週 2 回にしましょう。

解答・解説を見る

35-180 初回の在宅患者訪問栄養食事指導の時に、娘からいつも作っている食事内容のメモをもらい摂取量を把握した(表)。準備された食事はほぼ摂取し、間食はほとんどしない。この内容から優先すべき問題点である。最も適切なのはどれか。 1 つ選べ。

医師の指示は、エネルギー 1,400 kcal/日、たんぱく質 40 g/日、食塩 6 g/日未満である。

⑴ エネルギー摂取量が少ない。

*主食量が少ない(食パン半分、ご飯100gなど)

*油脂の使用量が少ない(パンにバターを塗っていない、おかずが煮物や和え物中心)

などの理由からエネルギー摂取量が少ないことが伺える。

⑵ たんぱく質は毎食摂取できており、一日の指示量をおおよそ摂取できていると思われる。

⑶ 野菜摂取量はやや少ないが、体重減少を防ぎ、筋力、嚥下能力を維持するため、エネルギー摂取量の確保の方が優先される。

*朝食にも野菜を加えられると良い。

⑷ 食塩摂取量は、およそ指示範囲内であると思われる。

*食塩を比較的多く含むみそ汁を毎日摂取しているが、1/2杯であること

*朝食では、食パン以外、ほとんど食塩を含まないこと。

*全体的な食事量が多くないこと。
(食事量が多いと、同時に食塩摂取量も増えやすい)

などの、理由から食塩摂取量は多くないと予想する。

しかしながら、医師の指示量が6g/日未満と少ないことから、煮物や和え物、みそ汁の味付けなどを確認するなどして、食塩摂取の過剰が無いか確認する必要がある。

35-181 今後の食事に対する具体的なアドバイスである。最も適切なのはどれか。 1 つ選べ。

⑴ 煮物を炒め物に替えるなど、油脂類の摂取を増やしましょう。

⑵ 朝食に卵 1 個程度を追加しましょう。

朝食のたんぱく質は、これ以上増やさなくて良い。

⑶ 朝食にトマト 1 / 2 個程度の野菜を追加しましょう。

朝食の野菜の量が少ないので、良いアドバイスである。しかし、エネルギー摂取量の確保が優先されることから、最適な選択肢とは言えない。

⑷ 昼食のみそ汁をやめましょう。

食塩摂取量を減らすためのアドバイスであると考えられる。

腎機能の低下、高血圧があり、食塩の指示量も6g/日未満であることから、みそ汁をやめれることが可能であれば、やめてもらっても良いが、最適な選択肢とは言えない。

この他に、食塩摂取量を減らす方法として、
・納豆の醤油を全て使わない(半分残す)
・減塩みそなどの減塩調味料を使用する
・みそ汁の具の野菜を増やして、その分汁を減らす。
(野菜の摂取量が増えるだけでなく、相対的に塩分の多い汁の摂取量が減る。)
・煮物を長時間煮込みすぎないようにする
などがある。

35-182 翌月に、再び在宅患者訪問栄養食事指導を行った。娘より、「最近、母の食欲が低下してきたようだ。」との訴えがあった。対策を相談していたところ、患者から「昔のように、パンにバターをたっぷり塗って食べたい。」と言われた。これに対する返答である。最も適切なのはどれか。 1 つ選べ。

⑴ はい、たっぷり塗ってもらいましょう。

*食欲の低下は、エネルギー摂取量の減少及び、体重の減少のリスク要因である。このようなときは、できる限り患者の食べたいものや食べられるものを優先する。

*エネルギー摂取量を増やすために、パンにバターを塗るのは簡単で良い方法である。

⑵ バターを 5 g に決めて、塗ってもらいましょう。

*バター5gは、小さじ1杯程度の量であり「たっぷり」とは言えない。

*細かな指示は、調理者である家族の負担増加につながるため注意が必要である。

⑶ バターではなく、マーガリンをたっぷり塗ってもらいましょう。

*バターをあえてマーガリンに変更する必要はない。

⑷ たっぷり塗ってもらうのは、週 2 回にしましょう。

*食欲が回復するまでは、ひとまずは「週2回」などの頻度の制限は必要ないと考える。

スポンサーリンク


コメント

関連記事