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第30回:応用力問題

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 問題全文

30-181 次の文を読み「181」、「182」に答えよ。

K病院に勤務する管理栄養士である。NSTラウンドで、肝硬変による腹水と脳症の治療のために1週間前に入院した患者のベッドサイドにいる。
患者は、70歳、男性。7年前にC型肝炎と診断され、治療していたが、昨年より肝硬変の状態であると告げられた。これまでに何度も入退院を繰り返している。
身長165cm、体重62kg、標準体重60kg、血圧142/92㎜Hg。空腹時血液検査値は、総タンパク質5.9g/dl、アルブミン2.6g/㎗、血糖125㎎/dl、AST61IU/L、ALT45IU/L、γGT68IU/L、総ビリルビン3.1㎎/dl、アンモニア237μg/dl(基準値40~80)。

30-181 この患者の栄養管理に関する記述である。誤っているのはどれか。1つ選べ。
(1)エネルギーの摂取量は、1,600kcal/日にする。
(2)たんぱく質の摂取量は、95g/日にする。
(3)脂肪エネルギー比率は、20%Eにする。
(4)ナトリウムの摂取量は、食塩相当量で6g/日未満にする。
(5)分岐アミノ酸を多く含む経腸栄養剤を用いる。

30-182 NST医師より、肝機能低下が著しいため、LES(late evening snack)療法を開始する指示があった。就寝前に摂取する食品として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
(1)ゆで卵1個(約60g)
(2)プロセスチーズ2個(約40g)
(3)おにぎり小2個(約120g)
(4)ホットミルク1杯(約200mL)

次の文を読み「183」、「184」、「185」に答えよ。
K介護老人福祉施設に勤務する管理栄養士である。利用者への食事支援を行っている。
利用者は、75歳、女性。70歳時に脳梗塞を発症し、N病院に入院した。退院後、自宅でごろごろしていることが多くなり、歩行が不自由になったため、2か月前に入所した。現在、食事は自立しており、普通食を食べている。最近、水を飲む際にむせるようになり、微熱が続いている。

30-183 この利用者の食事形態を考えるうえで、優先されるアセスメント項目である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
(1)体重
(2)嗜好
(3)嚥下機能
(4)食事摂取量

30-184 この利用者に提供すべき食事の形態である。正しいのはどれか。2つ選べ。
(1)液状でさらさらしている。
(2)まとまりやすい
(3)べたつかない
(4)つるっと滑りやすい
(5)細かく刻まれている

30-185 この利用者の副食として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
(1)銀杏入り茶碗蒸し
(2)豆腐とわかめの味噌汁
(3)ところてんの酢醤油かけ
(4)卵豆腐の銀あん

次の文を読み「186」、「187」に答えよ。
K小学校に勤務する管理栄養士である。養護教諭と学級担任から、Aさんの肥満改善について相談があった。
Aさんは、10歳4か月、男児。身長149cm、体重58.0kg、肥満度39.5%。入学時からの身長、体重測定データを、成長曲線上に整理した(図)。

30-186 成長曲線に基づくアセスメント結果である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)身長の増加に見合った体重増加がみられる。
(2)入学時点から、肥満であった。
(3)入学以降、肥満の程度が徐々に進行している。
(4)この1年間で、中等度肥満に達した。
(5)この1年間に、発育スパートを迎えた。

30-187 養護教諭の依頼により、Aさんの母親と面接することになった。初回面接でまず行うべきことである。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
(1)小児科専門施設を受診するように勧める。
(2)家庭での主食の量を半分にするように指導する。
(3)運動量を増やすように指導する。
(4)細菌1年間の生活状況の変化を聞き出す。

次の文を読み「188」、「189」に答えよ。
K中学校に勤務する管理栄養士である。養護教諭から、陸上部の長距離競技をしているAさんについて相談を受けた。
Aさんは、14歳、男子。身長170cm、体重56kg。日常生活において、動悸、息切れを自覚するようになり、運動後に尿の色が褐色になることがあったという。医療機関を受診し、血液検査値は以下の通りであった。
赤血球数300×10^4/㎜3、ヘモグロビン9.6g/dL、MCV86fL(基準値79~100)、MCH32pg(基準値26~34)、尿素窒素12㎎/dL、クレアチニン0.9㎎/dL。

30-188 この男子中学生に認められる病態である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
(1)鉄欠乏
(2)血球破壊
(3)腎機能障害
(4)循環血漿量の減少

30-189 この男子中学生への対応方針である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
(1)本人にビタミン・ミネラルのサプリメントを紹介。
(2)本人に捕食の摂り方を指導。
(3)保護者にレバーを使用した献立を紹介。
(4)陸上部のコーチに練習量を減らすように進言。

次の文を読み「190」、「191」に答えよ。
K介護老人福祉施設に勤務する管理栄養士である。認知症高齢者における栄養改善を図るために、食事支援を行っている。
利用者は、85歳、女性。5年前に認知症を発症し、施設入所した。6か月間で体重が2.5kg減少している。座位保持は可能である、上肢に麻痺や拘縮はない。食事は普通食を自力摂取しているが、摂取率は約50%である。食事中にぼんやりしていることが多い。
身長142cm、体重35kg、BMI17.4kg/m2

30-190 本症例の食事中の行動について、認知症症例の食事支援という観点から、優先的に観察すべき行動である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
(1)自ら食べ始めることができない。
(2)食べこぼしが多い。
(3)食事が終わったばかりなのに、また食べたがる。
(4)食事について不満を言う。

30-191 栄養状態を改善するために優先すべき支援内容である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
(1)食事形態を、きざみ食に変更する。
(2)空腹の訴えがある度に、補食を提供する。
(3)食事中の声掛けを行う。
(4)選択メニューにする。

次の文を読み「192」、「193」に答えよ。
K保育所に勤務する管理栄養士である。給食施設の責任者である。
9月15日13時頃、複数の入所児童が次々に腹痛を訴え、下痢の症状も出てきた。発熱は見られない。直ちに職員が保健所と体調不良児の保護者に連絡するとともに、管理栄養士は保健所の立入検査に備え、必要な書類の用意を開始した。検食を担当した職員の発症状況から、前日の昼食とおやつ、当日の昼食に、原因食品を絞り込み、摂取状況及び発症状況を調査した(表)。

30-192 食中毒の原因として、考えられる微生物である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
(1)ウェルシュ菌
(2)腸炎ビブリオ
(3)カンピロバクター
(4)病原性大腸菌

30-193 被害の拡大を防止する観点から、最初に行うべき対応である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
(1)保存検食を確認する。
(2)給食業務を停止する。
(3)症状のある調理従事者の検便を行う。
(4)調理室の清掃・消毒を行う。

次の文を読み「194」、「195」に答えよ。
K社員食堂の運営する給食会社に勤務する管理栄養士である。経営状態の改善を目的に、この施設の給食管理を任されることになった。経営状態を把握し、収益性を予測するために損益分岐点分析を行った。この施設のA期からB期への売上高、固定費、変動費の変化を表に示す。

表 損益分岐点分析資料

30-194 損益分岐点分析から導き出されるアセスメント結果は、変動率(  a )、損益分岐点売上高(  b  )、収益性(  c  )であった。(  )に入る正しいものの組合せはどれか。1つ選べ。
a b c
(1)上昇――上昇――上昇
(2)不変――低下――低下
(3)不変――上昇――低下
(4)低下――上昇――低下
(5)低下――低下――上昇

30-195 経営状態の改善を図るために考えた方策である。損益分岐点分析の結果に基づくものとして、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
(1)食材料費の見直し
(2)消耗品の節約
(3)正社員の配置の見直し
(4)パートタイマーの配置数の見直し

次の文を読み「196」、「197」に答えよ。

K病院に勤務する管理栄養士である。糖尿病と初めて診断された患者を対象に希望者を募って、月1回の糖尿病教室を開催している。教室の食事改善効果を学会で発表しようと考えている。なお、研究倫理委員会の承認を得ている。

30-196 同じ月に糖尿病と診断されたが、教室に参加しなかった患者を対照群とすることにした。教室に参加した患者と同じ性、年齢の患者を抽出し、1か月後のHbA1c、BMI、食事内容の変化を比較した。この研究デザインに該当するものとして、正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)前後比較試験
(2)無作為化比較試験
(3)非無作為化比較試験
(4)症例対象研究
(5)症例研究(ケーススタディ)

30-197食事内容の変化から教室の効果を検討し、学会で発表した。結果にバイアスをもたらす事項として強調すべき、研究の限界である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
(1)教室効果の検討として、1か月間の観察期間は短い。
(2)行動変容の準備性が、2群で異なった可能性がある。
(3)月1回の集団教育では、介入の強度が不十分である。
(4)1つの病因のデータであるため、一般化できない。

次の文を読み「198」、「199」、「200」に答えよ。
K市保健センターに勤める管理栄養士である。K市の健康推進プランの策定を担当することになった。
K市は勤労世代において、国民健康保険加入者の割合が他の自治体と比較して高い。

30-198 次の表は、昨年のK市と県全体の40歳から65歳までの三大主要死因と各々の死亡者数である。
K市、県全体のこの年代の人口は、それぞれ5万人と20万人であり、人口構成はほぼ同じである。各死因の死亡率比を求めらところ、悪性新生物( a )、心疾患( b )、脳血管疾患( c )であった。
(  )に入る正しいものの組合せはどれか。1つ選べ。
ただし、基準を1(県全体)とし、小数点第2位を四捨五入すること。

表 K市及び県全体の主要死因の死亡者数(40歳から65歳)

a b   c
(1)0.2――0.4――0.4
(2)0.8――1.5――1.6
(3)1.0――0.4――0.3
(4)1.3――0.7――0.6
(5)2.0――1.5――1.2

30-199 K市の健康推進プランの候補としてあがった目標である。K市の主要死因のデータから、重点的にとりあげる目標である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
(1)がんによる死亡率の低下
(2)がんと心疾患による死亡率の低下
(3)がんと脳血管疾患による死亡率の低下
(4)心疾患と脳血管疾患による死亡率の低下

30-200 K市住民の特性を考えた、健康推進プランでの重点的な取組である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
(1)学校と連携して、健康づくりの標語を募集する。
(2)ボランティアの協力を得て、栄養教室を開催する。
(3)企業と連携して、休日に健康イベントを開催する。
(4)保険者と連携して、特定健康診査を受診しやすい時間に変更する。

 

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