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その他

疫学研究について

    様々な疫学研究 (1)前後比較試験 ・集団にある治療を行い、介入前と介入後で病気の様子がどのように変化したかを比較する。 ・対照群は設けない。 ・患者の主観にも影響される。 ・信頼性(エビデンスレベル)はあまり高くない。 (2)無作為化比較試験(ランダム化比較試験) ・コンピューターなどを使って無作… 続きを読む »疫学研究について

    公衆衛生の定義

      公衆衛生の定義

      (公衆衛生の定義…公衆衛生の創設者であるウィンスローによる定義と、WHOによる定義。また、公衆衛生に関連した定義について。)


       ①公衆衛生の創設者であるウィンスローによる公衆衛生の定義

       「公衆衛生とは、環境の衛生、伝染病の予防、個人衛生に関する衛生教育、疾病の早期診断と治療のための医療および看護サービスの組織ならびに健康保持に必要な生活水準を各人に保障する社会機構の整備を目的とした共同社会の組織的努力を通じて、疾病を予防し生命を延長し身体的・精神的健康と能率の増進を図り、すべての住民に生来の権利である健康と長寿を得させるため、組織的に上記の成果を取りまとめようとする科学および技術である。」
       

       ②WHO(世界保健機関)による公衆衛生の定義

       「組織された地域社会の努力を通して、疾病を予防し、生命を延長し、身体的、精神的機能の増進をはかる科学であり技術

       としている。

       

      2つの定義をまとめると…

      公衆衛生とは「地域社会の組織的努力によって、人々の健康の保持・増進を目指す科学及び技術

      特徴として、公衆衛生は集団に対してのアプローチである。

      それに対して、個人に対するアプローチとしては医療があげられる。

       

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      予防医学(一次予防、二次予防、三次予防)

         一次予防(疾病前段階) 疾病の予防及び健康の維持増進。つまり、未然に疾病を防止するための活動である。 (例)予防接種、事故の防止、肥満予防のための減量や、減塩による高血圧の防止、生活環境改善など。  二次予防(疾病段階) 疾病の早期発見、早期診断、早期治療、重症化の防止。 (例)健康診査や救急処置… 続きを読む »予防医学(一次予防、二次予防、三次予防)

        胆石の原因、症状と栄養管理について

          胆 石

          (1)胆石の原因
          高コレステロール食が続くことによって、胆汁中にふくまれるコレステロールが過飽和状態となり結晶化する。この結晶を「コレステロール結石」と呼び、結石の原因の70%以上を占める。
           その他に、栄養不良及び低栄養や低タンパク質の状態が続くことによってビリルビンカルシウムという結晶が作られることによる結石もある。
          (2)胆石の症状
           主な症状は、腹部から背中にかけての鈍痛及び疝痛発作である。特に高脂肪食を摂取したあとに発症する場合が多い。かなり激しい痛みが数時間続き、吐き気や黄疸、高熱を伴う場合がある。高熱を伴うようなときには胆嚢炎や胆管炎を併発している場合もある。
          また、現在は無症状であっても、健康診断の超音波検査によって発見される場合もある。

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          保健所と保健センターの違い

             保健所

            都道府県、政令指定都市、中核都市などの地域保健を担う施設である。
            国民健康・栄養調査に関する調査を行う。

            <特徴>
            保健センターよりも専門的で広域的な部分を担当する。
            地域保健法に基づいて設置されている。

            <業務内容>
            地域保健法では以下のように定められている。
            第1項 地域保健に関する思想の普及及び向上に関する事項
            第2項 人口動態統計その他地域保健に係る統計に関する事項
            第3項  栄養の改善及び食品衛生に関する事項
            第4項  住宅、水道、下水道、廃棄物の処理、清掃その他の環境の衛生に関する事項
            第5項  医事及び薬事に関する事項
            第6項  保健師に関する事項
            第7項  公共医療事業の向上及び増進に関する事項
            第8項  母性及び乳幼児並びに老人の保健に関する事項
            第9項  歯科保健に関する事項
            第10項  精神保健に関する事項
            第11項  治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病により長期に療養を必要とする者の保健に関する事項
            第12項  エイズ、結核、性病、伝染病その他の疾病の予防に関する事項
            第13項  衛生上の試験及び検査に関する事項
            第14項  その他地域住民の健康の保持及び増進に関する事項

             保健センター(市町村保健センター)

            市町村レベルでの健康づくりを担う。全国に約2500か所設置されている施設である。

            <目的>
            市町村保健センターは、住民に対し、健康相談、保健指導及び健康診査その他地域保健に関し必要な事業を行うこと。

            <業務内容>
            地域住民の健康相談、保健指導、予防接種や各種検診など。
            ・母子健診
            ・一般住民に対する健康教育、栄養相談
            ・福祉に関する業務(高齢者のサポートなど)
            ・未熟児に対する訪問指導

            <特徴>
            対人サービスを主とする。
            市町村は、市町村保健センターを設置することができる。

             

            参考:厚生労働省HP『地域保健法』http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO101.html.2016年5月21日参照

             

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            高尿酸血症・痛風と食事療法

              高尿酸血症・痛風について

               痛風はプリン体の代謝異常による高尿酸血症を特徴とした、急性関節炎である。 
               痛風はかなり歴史の古い病気でレオナルド・ダ・ヴィンチやニュートン、ミケランジェロなど歴史上の数々の人物もこの病気に悩まされ、『贅沢病』とも言われていた。
               現在の日本において、痛風患者は現在でも全ての年代で増加傾向にあり、1995年と比べて2.1倍、1986年と比べると3.4倍*1となっている。その背景には食の欧米化や食べ過ぎ・飲みすぎなどがあると考えられている。

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              食生活指針・食事バランスガイドについて

                食生活指針の歴史
                 食生活指針および健康づくりのための食生活指針1985年厚生省(現:厚生労働省)が国民一人一人の食生活改善や、健康の保持・増進を目的として策定した。

                健康づくりのための食生活指針(S60年)
                1.多様な食品で栄養バランスを
                 〇一日30食品を目標に
                 〇主食・主菜・副菜をそろえて

                2.日常の生活活動に見合ったエネルギーを
                 〇食べ過ぎに気をつけて、肥満を予防
                 〇よくからだを動かし、食事内容にゆとりを

                3.脂肪は量と質を考えて
                 〇脂肪はとりすぎないように
                 〇動物性の脂肪より植物性の油を多めに

                4.食塩をとりすぎないように
                 〇食塩は一日10グラム以下を目標に
                 〇調理の工夫で、むりなく減塩

                5.こころのふれあう楽しい食生活を
                 〇食卓を家族のふれあいの場に
                 〇家庭の味、手作りのこころを大切に

                (1985年(昭和60年)、厚生省策定)

                 また、1990年には対象特性別食生活指針といって、成人病予防や成長期、女性、高齢者など個人の特性に合わせた食生活指針も策定された。
                 そして、2000年には、新食生活指針文部省、厚生省、農林水産省の3省によって策定された。

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                COPD(慢性閉塞性肺疾患)と栄養管理について

                  慢性閉塞性肺疾患(COPD)

                  慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは?
                   慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは、従来の肺気腫や慢性気管支炎の総称であり、これらのどちらか又は両方によって起こる。
                   慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者では、努力性呼吸により消費エネルギーが増大し、呼吸に使われるエネルギーは健常者の約10倍にもなる。

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                  公衆栄養の歴史変遷

                    1937年(昭和12年) 保健所法 1947年(昭和22年) 栄養士法 1952年(昭和27年) 栄養改善法(現:健康増進法)…国民栄養調査の実施、集団給食施設の指導、特殊栄養食品の許可、栄養審議会の設置などについて示す。 1954年(昭和29年) 学校給食法 1962年(昭和37年) 管理栄養士制… 続きを読む »公衆栄養の歴史変遷

                    内分泌性肥満とクッシング症候群

                      「クッシング症候群」  クッシング症候群では、副腎皮質ホルモンであるコルチゾールの過剰分泌が原因となって、手足の細い中心性肥満や、満月様顔貌、赤ら顔、にきび、高血圧、糖尿病などの症状をきたし、男性よりも女性に多い疾患である。 クッシング症候群の中でも、脳下垂体微小腺腫からの副腎皮質刺激ホルモン(AC… 続きを読む »内分泌性肥満とクッシング症候群

                      食事摂取基準(2015)と国家試験過去問をマスターしよう!

                         今年度(第30回)の管理栄養士国家試験では『食事摂取基準』に関連した問題が7問出題されており、とても重要な事項であると言えます。ここでは食事摂取基準の中でも特に重要と思われる内容についてまとめました。食事摂取基準について理解したうえで問題を解いてみましょう。
                          食事摂取基準は5年ごとに改定されていることから、改訂された内容について問う問題が出題されている傾向があります。
                          推定平均必要量や推奨量、目安量、各栄養素の策定根拠などのキーワードを自分の言葉で説明できるようにしておくと良いでしょう。

                        日本人の食事摂取基準 2015年版

                        < 内 容 >

                        ・例年の出題数
                        ・食事摂取基準策定について
                        ・食事摂取基準の対象者について
                        ・エネルギーや栄養素の指標について
                        ・それぞれの指標について
                        ・集団の食事摂取状況の調査について
                        ・推定平均必要量の算定根拠について

                        1.例年の出題数

                         

                         

                        過去5年間の「食事摂取基準」に関連した問題の出題数は以下の通りです。

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                        2.食事摂取基準(2015)の策定

                         食事摂取基準は健康増進法に基づき、厚生労働省5年ごとに策定している。

                         2015年改訂の食事摂取基準では、健康の保持・増進生活習慣病の発症予防に加えて、『生活習慣病の重症化予防』も視野に入れて策定された。
                         また、それにともなってそれぞれの疾病のガイドラインとの調和が図られている。(糖尿病ガイドラインやCOPDのガイドラインなど。)

                        3.食事摂取基準の対象者

                         健康な個人並びに健康な人を中心として構成されている集団とし、高血圧、脂質異常、高血糖、腎機能低下に関するリスクを有していても自立した日常生活を営んでいる者を含む。

                         治療を目的とするものに関しては、食事摂取基準の基本的な考え方の理解はもとに、それぞれの治療ガイドライン等を用いることとする。

                         ☆2010年までにおける食事摂取基準では、健康な個人または集団を対象としていたが、2015年ではリスクを有する者も対象者としている。

                        4.エネルギーの指標

                         エネルギ―の過不足はエネルギー摂取量と相関が高い体重変化量またはBMIで評価される。
                         また、エネルギーの過不足とは別に、栄養素の過不足を回避するための指標として3つの目的とそれに対する5つの指標がある。

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                        5.3つ目的と指標、研究方法について

                        ① 摂取不足の評価

                         ⇒評価指標として個人の評価には推定平均必要量、推奨量、目安量が用いられる。また、集団の栄養素摂取不足の評価においては、推定平均必要量と目安量が用いられる。(推定平均必要量や、推奨量が無い場合は目安量を用いる。)

                         ⇒算定根拠となる研究方法…実験研究、疫学研究

                        ② 過剰摂取による健康障害の評価⇒評価指標として耐容上限量が用いられる。

                         ⇒算定根拠となる研究方法…症例報告

                        ③ 生活習慣病の予防⇒評価指標として目標量が用いられる。

                         ⇒算定根拠となる研究方法…介入研究

                         

                        6.集団の食事摂取状況の調査

                         集団の食事摂取状況の評価においては、それぞれの摂取量の平均値を求めるのではなく、栄養素の摂取量が指標を下回っている場合や上回っている場合の割合や分布をもとに評価することに注意する。評価の際に平均値を用いないのは、摂取量の多いものや少ないものを評価することができないためである。

                        *集団における評価項目と指標

                        ① エネルギー摂取不足⇒目標となるBMIを下回っている者や上回っているものの割合。

                        ② 栄養素の摂取不足⇒推定平均必要量の下回る者の割合を調査する。

                        ③ 栄養素の過剰摂取⇒耐用上限量を上回る者の割合を調査する。

                        ④ 生活習慣病予防を目的⇒目標量の範囲を逸脱する者の割合を調査する。

                        7.それぞれの指標について

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                        画像:http://www.glico.co.jp/navi/e06.htmlより

                         推定平均必要量(EAR)とは
                         『ある集団に属する50%の人が必要量を満たすと推定される摂取量。』(50%の人が必要量を満たさない量ともいえる。)科学的根拠がある指標である。
                         健康障害が生じるまでの典型的な摂取期間は数か月間である。

                         推奨量(RDA)とは
                         『ある集団において、ほとんどの人(97~98%)が充足しているとされる摂取量。』
                         健康障害が生じるまでの典型的な摂取期間は数か月間である。
                         推奨量では不足している可能性が2~3%と低く、栄養指導には推奨量を用いると良い。
                         ※推奨量=推定平均必要量×推奨量算定係数

                         目安量(AI)とは
                         推定平均必要量が算定できない場合に用いられる。『特定集団において不足状態を示す人がほとんどおらず、一定の栄養状態を維持するのに十分な量』である。十分な科学的根拠はない。
                         健康障害が生じるまでの典型的な摂取期間は数か月間である。
                         母乳保育の健康な乳児の摂取量では、母乳中の栄養素濃度と哺乳量との積を用いて計算する。

                         耐用上限量(UL)とは
                         『習慣的に摂取する量として健康障害をもたらすリスクが無いとみなされる量の上限。』過剰摂取による健康障害を未然に防ぐことを目的として算定された。
                         耐用上限量以上を習慣的に摂取していると健康障害のリスクが高まるとされている。
                         健康障害が生じるまでの典型的な摂取期間は数か月間である。

                        * 目標量(DG)とは
                         『生活習慣病の発症および重症化予防のために現在の日本人が当面の目標とすべき量。』
                         目標論はその他の指標と違い、確率論で示すことができないため、表には示されていない。
                          健康障害が生じるまでの典型的な摂取期間は数年~数十年間である。

                        8.推定平均必要量の設定根拠について*2

                        ビタミンC
                         壊血病の回避ではなく、心臓血管系の疾病予防効果並びに抗酸化作用効果から算定された。

                        ビタミンB1
                         ビタミン B1の欠乏症である脚気を予防するための最小必要量からではなく、尿中にビタミン B1 の排泄量が増大し始める摂取量(体内飽和量)から算定された。

                        ビタミンB2
                         ビタミン B2の欠乏症である口唇炎、口角炎、舌炎などの皮膚炎を予防するための最小摂取量から求めた値ではなく、尿中にビタミン B2 の排泄量が増大し始める摂取量から算定された。

                        ナイアシン
                         ペラグラを予防できる最小摂取量から算定された。

                         

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