⑴
特異度が高くなると、敏感度は低くなる。
特異度とは「真の健常者のうちスクリーニング検査で正しく陰性と判定できた者の割合」であり¹、敏感度とは「真の有病者のうちスクリーニング検査で正しく陽性と判定できた者の割合」である¹。敏感度と特異度は、トレードオフの関係にあり、敏感度が高くなれば特異度は低くなる。逆に、特異度が高くなれば敏感度は低くなる。
⑵
敏感度が
低くなると、特異度は高くなる。
解説は(1)を参照されたい。
⑶
特異度が高くなると、偽陽性率(ある検査で、真の健常者が陽性と判定される場合¹)は低くなる。
偽陽性率は、1-特異度で求められるため、特異度が高くなると偽陽性率は低くなる。
ROC曲線(受信者動作特性曲線)※1は、縦軸を敏感度、横軸を偽陽性率(1-特異度)として描かれる(第33回より)。
〇⑷ 有病率が低くなると、陽性反応的中度は低くなる。
有病率とは、ある一時点において、疾病を有している人の割合である²。
陽性反応的中度は、スクリーニング※2を行う集団における当該疾病の有病率の影響を受ける。有病率が高くなると、陽性反応的中率は高くなり、有病率が低くなると陽性反応的中率は低くなる。
⑸ 有病率が低くなると、陰性反応的中度は
高くなる。
陰性反応的中度とは、スクリーニング検査結果が陰性の者のうち、真の健常者の割合を指す¹。
脚注
※1 ROC曲線は、複数のスクリーニング検査の中から最も有効なものを選択したり、スクリーニング検査の最適なカットオフ値を決定する際に用いられる¹。
※2 スクリーニングとは、健康と思われる人々を対象に実施し、隠れた疾病や疾病にかかる前の状態の者を見つけ出し、早期治療につなげることで、疾病発生および疾病の悪化を防ぐためのもの。日本で行われているスクリーニング検査として、がん検診(子宮頸がん、乳がん、肺がん、大腸がんなど)、新生児マススクリーニング検査などがある。
参考文献
- 日本疫学会監.疫学の辞典.朝倉書店(2023).
- 日本疫学会監.はじめて学ぶやさしい疫学.改訂第3版.南江堂(2018).