<アセスメント>
この文章だけでは診断はできないが*1、
尿たんぱく量があることなどからCKD(慢性腎臓病)のステージG1に対する栄養管理が必要と考える*2。
*1<CKDの診断基準>
①,②のいずれか,または両方が3カ月以上持続することで診断する。
①尿異常,画像診断,血液,病理で腎障害の存在が明らかであること。
特に0.15 g/gCr以上の蛋白尿(30mg/gCr以上のアルブミン尿)の存在が重要.
②GFR<60 mL/分/1.73 m2
*2<GFRによるステージ区分>
G1(正常または高値) ≧90
G2 (正常または軽度低下) 60~89
G3a (軽度~中等度低下) 45~59
G3b (中等度~高度低下) 30~44
G4 (高度低下 )15~29
G5 (末期腎不全:ESKD) <15
参考:日本腎臓学会,エビデンスに戻づくCKD診療ガイドライン2018
エネルギー量 たんぱく質量
(kcal/日) (g/日)
(1)1,200――――――60
1,200kcalということは、20kcal/kg標準体重/日程度しかないため、エネルギー量が少ない。
エネルギーが不足すると、体たんぱく質の利用が高まり、体内での窒素代謝物の生成量も増加してしまう。
(2)1,200――――――80
たんぱく質80g/日では、1.4g/kg標準体重/日でありやや多い。
<たんぱく質摂取量の目安>
・ステージG3a:0.8~1.0 g/kg標準体重/日
・ステージG3b以降:0.6~0.8 g/kg標準体重/日
参考:日本腎臓学会編.慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版,東京医学社,2014.https://cdn.jsn.or.jp/
(3)1,600――――――45
1600kcalでは、計算上28kcal/kg標準体重/日である。
エネルギー量は25~35kcal/kg標準体重/日程度が適当であり正しい。
たんぱく質量については、45g(=約0.8g/kg標準体重/日)であり、やや少ない。
この患者はステージG1だとすれば、ここまでのたんぱく質制限は不要であると考えられる。
〇(4)1,600(25~35kcal/kg標準体重/日)――――――60(=約1g/kg標準体重/日)
(5)2,100――――――45
エネルギー量が多く、たんぱく質量が少ない。