この胃全摘術後患者の貧血の原因として適当なのは、〇⑵ ビタミン B12である。
- 胃全摘術後では、胃の壁細胞より分泌される内因子が欠如することにより、ビタミンB12の吸収が障害される。
- ビタミンB12により、巨赤芽球性貧血が起きる。
- 巨赤芽球性貧血では、MCV(平均赤血球容積)高値だがMCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度)は基準値内である。
⑴ ビタミン B1
ビタミンB1の欠乏は、脚気やウェルニッケ・コルサコフ症候群の原因となる。
〇⑵ ビタミン B12
ビタミンB12の欠乏は、巨赤芽球性貧血の原因となる。
⑶ ビタミン C
- ビタミンCの欠乏は、壊血病の原因となる。
- ビタミンCは、非ヘム鉄の吸収を促進する¹。
⑷ カルシウム
- カルシウムの欠乏は、骨粗しょう症、高血圧、動脈硬化を招く可能性がある²。
- 胃全摘術後では、カルシウムの吸収が低下するが、カルシウム吸収低下は貧血の原因ではないと考える。
⑸ 鉄
鉄の欠乏は、鉄欠乏性貧血の原因となる。鉄欠乏性貧血では、MCVもMCHCも低値となる。
参考文献
1 中屋豊ら, 基礎栄養学(医歯薬出版株式会社, 2005), p136.
2 厚生労働省, 日本人の食事摂取基準2020年版(第一出版, 2020), p278.