〇(1) 入院時、輸液管理を実施した。
(2) 腹痛が治まってもいきなり全粥食を開始せずに重湯やジュース、スープなどから食べ始める。
(3) 脂質50g/日では過剰である。完全に症状が治まっても脂質は30g以下とする。
〇(4) 退院時に、禁酒を指導した。
(5) たんぱく質制限食の指導は必要ない。第一に脂肪の摂取制限についての指導をする。ただ、タンパク質摂取の際にも脂肪の少ないたんぱく質源を選ぶように注意する。
急性膵炎の栄養管理
急性期(発症初期)
絶飲食とし、輸液による栄養管理を行って栄養状態の悪化を防止する。おもに中心静脈栄養法を用いる。
回復期
中心静脈栄養法又は、成分栄養剤による経腸栄養法を用いる。
回復の程度によって経口摂取も開始するが、摂取を開始してからすぐは炭水化物を主とした流動食とする。
アルコールは厳禁。食塩は3~5g/日とする。
急性膵炎の血液検査所見
急性膵炎では、膵臓の組織の破壊によって膵臓から分泌される各種の消化酵素が血液中へ流入する。
・ アミラーゼ上昇(膵特異性は低いためアミラーゼアイソザイム測定も必要)
・ リパーゼ上昇
・ トリプシン上昇
また、炎症の指標となる白血球数やCRPが上昇することもある。
慢性膵炎と糖尿病の関係
慢性膵炎とは膵臓に繰り返し炎症が起こることによって膵臓の細胞が線維化し、膵臓自体が固くなって萎縮した状態である。
膵臓は、インスリンやグルカゴンを分泌し血糖値を調節する働きがある。
膵臓の機能低下によってインスリンの分泌が低下し、糖尿病を併発することがある。
そのため糖尿病発症への対策として、慢性膵炎非代償期の栄養管理においては、糖尿病の栄養管理に準じたものとする。