食中毒は毎年、必ず出題される問題です。
「毎年出題される」のがわかっている以上は必ず取れるようにしてもらいたい問題です。
頑張って覚えましょう!
また、「参考書ごとに、潜伏期間が2~10日だったり3~8日だったりするんですがどれを覚えればいいですか?」
という質問をよくいただきますが、
国試の選択肢では「1日未満 or 2日以上 or 7日」くらい明確に分かれるので
「潜伏期間は1日未満か?2日以上か?」くらいから覚えましょう。
その次に「12時間未満でも発症するか?」を付け加えて覚えるといいと思います。
例として、
黄色ブドウ球菌
→「1日未満, もっというと12時間未満。昼に汚染されたおにぎり食って、夜までに発症」
⑴ 黄色ブドウ球菌は、〔 エンテロトキシン 〕を産生する。
黄色ブドウ球菌は耐塩性の細菌で、塩おにぎりなどの中でも増殖&毒素を産生します。
また産生されるエンテロトキシンは熱に強い毒素なので食べる直前に再加熱しても毒素は壊れません。
さらに食品中に蓄積されたエンテロトキシン(毒素)を直接摂取するので、中毒症状がすぐ(1~6時間)に現れます。
選択肢中のベロ毒素は「腸管出血性大腸菌」が産生する毒素です。
〇⑵ ボツリヌス菌は、偏性嫌気性菌である。
正しい文章です。
国試に出る「偏性嫌気性菌」はボツリヌス菌とウェルシュ菌の2種類を覚えておけばOKです。
「それ以外は全て通性嫌気性菌」で覚えてもいいくらいです。(※カンピロバクターだけ微好気性)
偏性嫌気性菌=無酸素状態で増える菌、周囲に酸素があると増殖できない菌。
→酸素がないところで増殖するので
ハチミツの中(ボツリヌス)や、カレーのようなドロっとした煮込み料理(ウェルシュ)で生じる
通性嫌気性菌=酸素がなくても増殖できるが、酸素があると増殖速度が増加する菌。
→大抵の食中毒菌
⑶ カンピロバクターによる食中毒は、主に〔 鶏肉の加熱不足(生食) 〕で発生する。
カンピロバクターは鶏の腸管に生息する細菌で、主に鶏の加熱不足(生食)によって発症します。
潜伏期間は2〜7日と比較的長いものです。
また、合併症として「ギラン・バレー症候群」が出題されたことがあるのでそれらもおさえておきましょう。
選択肢の煮込み料理は(2)の解説通りウェルシュ菌です。
⑷ 腸管出血性大腸菌による食中毒の潜伏期間は、〔 3〜8日 〕程度である[1]。
腸管出血性大腸菌の潜伏期間は比較的長いものです。
熱に弱い性質があるため、肉などをしっかりと加熱することで予防できます。
⑸ わが国におけるセレウス菌による食中毒は、主に〔 嘔吐型 〕である。
セレウス菌には嘔吐型と下痢型がありますが、日本で多いのは嘔吐型です。
嘔吐型は米などのでんぷん性の食品由来で生じるもので、
産生される毒素が耐熱性のため、米を炊いたり炒めたりしても回避できず
米飯, チャーハンやピラフなどで発症することが多いです。
さらに食品中に溜まった毒素を直接摂取することになるので、潜伏期間は1~6時間と非常に短いものです。
類似問題
31-54 微生物に関する記述である。
32-57 カンピロバクターとそれによる食中毒に関する記述である。
33-55 細菌性およびウイルス性食中毒に関する記述である。
34-55 食中毒の原因となる細菌およびウイルスに関する記述である。
35-53 細菌性食中毒に関する記述である。
36-52 ボツリヌス菌とそれによる食中毒に関する記述である。
36-53 細菌性およびウイルス性食中毒に関する記述である。
37-52 (準備中)
[1] 厚生労働省. 「腸管出血性大腸菌Q&A Q35
腸管出血性大腸菌に感染するとどんな症状になるのですか?」(2024年8月13日閲覧)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177609.html
文責:アヒル