39-122 膵炎の栄養管理に関する記述である。

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39-122 膵炎の栄養管理に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

⑴ 急性膵炎で激しい上腹部痛がある場合、成分栄養剤を用いて経腸栄養を行う。

⑵ 急性膵炎患者の食事開始時は、脂質10g/日以下とする。

⑶ 慢性膵炎非代償期では、たんぱく質を0.8g/kg標準体重/日に制限する。

⑷ 慢性膵炎非代償期では、脂溶性ビタミンの摂取を制限する。

⑸ 慢性膵炎非代償期で二次性糖尿病がみられる場合、エネルギー量は20kcal/kg標準体重に制限する。

厚生労働省. 『第39回管理栄養士国家試験の問題(午後の部)』(2025) .

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428961.pdf, (2025年4月20日閲覧)

解答・解説を見る

 

⑴ 急性膵炎で激しい上腹部痛がある場合、〔 絶食とする 〕。

急性膵炎激しい痛みがある場合(急性期重症期)では、

膵臓に負荷をかけないようにするために絶食とする

 

⑵ 急性膵炎患者の食事開始時は、脂質10g/日以下とする。

正しい。急性膵炎の症状が多少落ち着き、食事を再開するようになったときは

膵臓に急激な負担がかからないように、まず脂質10g/日以下から再開し、

順調な食事摂取が出来ていると確認できれば徐々に摂取量を増やしていく

 

⑶ 慢性膵炎非代償期では、たんぱく質を〔 1.0 〜 1.5 g/kg標準体重/日 程度とする 〕。

慢性膵炎では、代償期・非代償期に関わらず

高エネルギー(30〜35kcal/kg/日)高たんぱく質(1.0 〜 1.5 g/kg/日)とするので

選択肢の0.8gは少なすぎる。

炎症を起こしている分、および、脂肪を制限する分として

高エネルギー & 高たんぱく質が必要となる。

 

⑷ 慢性膵炎非代償期では、〔 脂溶性ビタミンを積極的に摂取する 〕。

慢性膵炎非代償期では、リパーゼの分泌低下などにより

脂肪の吸収障害が生じている。

そのため脂肪と共に吸収される脂溶性ビタミンも吸収率が低下しており、欠乏に注意が必要である。

よって脂溶性ビタミンは制限ではなく、積極的に摂取することが望ましい

 

⑸ 慢性膵炎非代償期で二次性糖尿病がみられる場合、エネルギー量は〔 制限しない (もしくは25〜30kcal/kg標準体重に制限する)〕。

慢性膵炎非代償期では、膵臓機能がほぼ失われているため

インスリン分泌が低下し糖尿病を呈する

しかし、インスリンだけでなくグルカゴンの分泌も低下しており

低血糖にも注意が必要である。

そのため、エネルギー量を20kcal/kgに制限すると制限のしすぎとなり危険が生じる。

そのためほとんど制限せず、25〜30kcal/kg程度にすることが望ましい。

 

文責:アヒル


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