⑴ 紫外線照射は、食品の〔 表面のみ 〕殺菌することができる。
特定の紫外線(正確にはUV-C)はDNAを障害(破壊)することができます。
「太陽光(紫外線)の浴びすぎで皮膚がんになる」と言われるのはこれが原因です。
細菌もDNAを有しているため、
紫外線によってほぼすべての細菌を殺菌することができます。
しかしながら食品表面しか殺菌できないため
食品内部や紫外線照射した面の裏側などは殺菌できません。
(日光の浴びすぎで内臓の癌にならないのは紫外線が皮膚までしか届かないから)
余談ですが、じゃがいもの発芽予防に用いられる
「コバルト60による放射線照射」は、γ線がじゃがいもを貫通して裏側まで届きます。
なんならγ線は貫通して芋の中には残りません。※殺菌目的には使用されていない。発芽防止だけ!
⑵ 牛乳の〔 超高温殺菌 〕は、120~150℃で2~4秒間行われる。
牛乳の殺菌は「温度」で大きく3つに分けて考えましょう。
低温殺菌:63°C (65°Cくらいで覚える)
高温殺菌:72〜75°C (75°Cくらいで覚える)
超高温殺菌:120〜150°C (150°C:高温の倍ぐらいで覚える)
これでOKです。
国試では「69°Cで加熱するとしたらどちらに当てはまりますか?」
というような、意味不明な問題は出ません。
また、加温する時間ですが
低温:30分(長時間)、高温:15秒(短時間)、超高温:2~4秒(瞬間)と明らかに時間の幅が違います。
「じっくりコトコト30分、CM1本分(15秒)、瞬間」みたいに
ざっくり覚えておけば大丈夫です。
殺菌方法に関する正式な名称は温度と時間を組み合わせて、
低温長時間殺菌(LTLT:Low Temperaature Long Time)
高温短時間殺菌(HTST:High Temperaature Short Time)
超高温殺菌(UHT:Ultra High Temperaature)と分けられます。
では選択肢中の「高温短時間殺菌」を残すならどのように正文直しできるでしょうか?
(答えは解説末尾で)
⑶ CA貯蔵では、酸素濃度を〔 2〜10% 〕程度に維持する。
2〜10%はかなり広めに範囲を取っています。
参考書などでは2〜8%や3〜7%など多少ずれがあると思います。
覚えるべきことは、
空気中の酸素が20%程度なのに対し、
CA貯蔵では半分以下(10%以下)まで減らしていること
一方で二酸化炭素は空気中0.03%程度に対し、
CA貯蔵では100倍近く(2〜10%程度)まで増やしていること
これらの結果、「低酸素&高二酸化炭素」の状態となり、
果物を半年以上、保存できるようになります。
⑷ パーシャルフリージングは、〔 -5 ~ -2℃ 〕の範囲で行われる。
パーシャルフリージングは、主に肉や魚を冷凍保存するときに用いられます。
この温度帯( –5°C 〜 –2°C )で急速に冷凍することで
たんぱく質の変性が起こりづらく、冷凍による品質への影響が少なくなります。
詳しくは「最大氷結晶生成帯」などでRBをみてもらえるといいと思います。
もう少し砕けていうと、解凍時に流出する「ドリップ」が減らせる。
〇⑸ フリーズドライでは、食品中の水分は氷から水蒸気となる。
正しい文章です。
通常、水は液体(水)→気体(水蒸気)へと「蒸発」しますが
減圧環境下では固体(氷)→気体(水蒸気)へと「昇華」します。
この、昇華という現象を用いた乾燥方法が「フリーズドライ(凍結乾燥)」です。
類似問題
36-62 食品の保存に関する記述である。
35-63 食品の保存に関する記述である。
34-62 食品の保存に関する記述である。
28-71 食品の冷凍に関する記述である。
解説中の問題の答え
牛乳の高温短時間殺菌は、〔 72〜75℃で15秒間 〕行われる。
文責:アヒル