相対危険と寄与危険割合を計算する問題です。
いきなり計算に入る前に、ここでは
「相対危険」と「寄与危険」についてお話しします。
相対危険とは「リスクが何倍になったか?」を表すものです。
もう少し具体的にいうと「喫煙することで肺がんのリスクが何倍になったか?」を指します。
ですので、計算方法としては
「暴露あり群の発症率」÷「暴露なし群の発症率」をすることになります。
(例) 喫煙群の発症率15%, 非喫煙群の発症率5% →「喫煙によって発症率が2倍になった」=「相対危険は3.0」
寄与危険は「リスクがどのくらい増えたか?」を表すものです。
もう少し具体的にいうと「喫煙することで肺がんのリスクが“どのくらい(何人くらい)”増えたか?」を指します。
ですので、計算方法としては
「暴露あり群の発症率」-「暴露なし群の発症率」をすることになります。
(例) 喫煙群の発症率15%, 非喫煙群の発症率5% →「喫煙によって発症率が0.10(10%)増えた」=「寄与危険は0.10 (10%)」
そして今回の問題で問われている「寄与危険割合」ですが
「暴露あり群の発症率のうち、真に暴露によって増えた発症率はどのくらいの割合?」を指します。
計算としては、
「暴露あり群の発症率 - 暴露なし群の発症率」 ÷ 「暴露あり群の発症率」で計算します。
(例) 喫煙群の発症率15%, 非喫煙群の発症率5%→ 「15% – 5% = 10%、暴露あり群の15%のうち10%が真に喫煙によって増えた率」
10% ÷ 15% = 66.7%(0.667)
さて、ここからこの問題の計算です。
「相対危険」すなわち、「リスクが何倍になったか?」を計算するためには
「暴露あり群の発症率」÷「暴露なし群の発症率」を計算することで計算できます。
故に、「100/10000」÷「50/10000」= 2.0 となり
相対危険は2.0となります。
「寄与危険割合」すなわち「暴露あり群の発症率のうち、真に暴露によって増えた発症率はどのくらいの割合?」を計算するために
「暴露あり群の発症率 - 暴露なし群の発症率」 ÷ 「暴露あり群の発症率」を計算します。
故に、
(100/10000 – 50/10000)÷(100/10000)
= (50/10000)÷(100/10000) = 50/100 = 0.50 (寄与危険割合)となります。
〇⑸ 2.0 0.50
この問題は文章で把握するよりも下記の動画を見ていただいた方がわかりやすいと思います。
解説動画
相対危険、寄与危険、オッズ比の解説
38-5の解説動画
類似問題
32-5 ある地域の40歳以上の男性を対象としたコホート研究において
29-5 相対危険に関する記述である。
26-7 あるコホート集団において、肺がんによる死亡を5年間追跡調査した結果を、下表に示す。肺がんに対する曝露Aの寄与危険(10万人年対)である。正しいのはどれか。1つ選べ。
追試25-7 コホート研究において、要因曝露群での罹患率がA、非曝露群での罹患率がBであった。
21-7 要因曝露群における疾病の罹患率がA、非曝露群における罹患率がBのとき、要因曝露による疾病罹患の相対危険と寄与危険の組合せである。
文責:アヒル