37-122や38-123に似た問題が出題されている。
このタイプの問題は、1問の中に複数の疾病の食事療法や、薬物療法などが出題できるため
出題者としてさまざまな知識をまとめて問いやすい。
今後も出題される可能性が高いため過去問周回をする中でしっかりと正文化できるようにしておきたい。
⑴ 逆流性食道炎 炭水化物
逆流性食道炎では、食べ物が胃で滞留する時間が長いほどリスクになりうるため
胃での滞留時間の長い脂肪の多い食事を制限するべきである。
なお、炭水化物は消化に良く、胃での滞留時間も短いため、むしろ適した食事である。
上記の他に、アルコールやカフェイン、酸味の強い食品は胃酸分泌を促進するため避ける方が良い。
⑵ 胆石症 カルシウム
胆石のいわゆる“石”の主成分は胆汁中のコレステロールやビリルビンである。
本来、胆石は胆嚢の中で形成されそこにとどまるが、胆嚢の収縮などにより押し出され、
胆石が胆管を塞ぐと腹部に痛みを生じさせる。
そのため食事療法では「胆嚢収縮を抑制させる」必要があり、
胆嚢収縮を促進する、脂肪やコレステロールの摂取を制限するべきである。
尿路結石は主成分がカルシウムで
過去に「尿路結石ではカルシウムを制限すべき」となっていたが
最近は適度に摂取する方が良いとされている。
胆石と結石の主成分を曖昧に覚えている受験生を引っ掛けるための選択肢である。
⑶ たんぱく質漏出性胃腸炎 たんぱく質
たんぱく質漏出性胃腸炎は、腸管で血漿たんぱく質が漏れ出てしまう疾患である。
血漿たんぱく質、特にアルブミンが漏れ出てしまい、低アルブミン血症(低たんぱく血症)を生じる。
そのため、食事療法ではたんぱく質は制限せず積極的に摂取する必要がある。
⑷ 潰瘍性大腸炎寛解期 水分
潰瘍性大腸炎では水分制限を行わない。
むしろ、活動期・寛解期問わず下痢を生じる傾向があるため
脱水に注意しこまめに給水する必要がある。
〇⑸ クローン病活動期 脂肪
正しい。クローン病活動期では下痢、血便などを生じるため
腸への負担を避けるために低脂肪・低残渣の食事が適している。
一方で発熱や炎症を起こしているため、
高たんぱく質・高エネルギーを意識する必要もある。
文責:アヒル