〇(1)クローン病では、抗TNF-a抗体製剤が使用される。
⇒クローン病の根本的な治療薬は無いが、難治例に抗TNF-a抗体製剤が効果があるとして、最近用いられるようになっている。
また、潰瘍性大腸炎においても、抗TNF-a抗体製剤は使用されている。
〇(2)クローン病活動期では、成分栄養剤が有効である。
⇒活動期は食物繊維の多い食品や消化の悪い食品を避けなくてはならない。
成分栄養剤はアミノ酸のみを窒素源としており、腸への負担も小さいことからクローン病活動期で用いられる。
〇(3)クローン病活動期では、n-3系多価不飽和脂肪酸の摂取を勧める。
⇒n-6系多価不飽和脂肪酸は炎症を助長する。それに対して、n-3系多価不飽和脂肪酸は炎症を抑制する作用がある。
〇(4)潰瘍性大腸炎では、5−アミノサルチル酸製剤が使用される。
⇒5-アミノサルチル酸製剤には、炎症抑制作用がある。
(5)潰瘍性大腸炎寛解期では、たんぱく質の摂取量を制限しない。
⇒寛解期とは、病気が完全に治った状態ではないが、病気による症状や検査異常が消失した状態のことをいう。つまり、炎症がみられないためタンパク質を制限する必要はない。
クローン病
クローン病は、若者に多く見られる非特異的炎症性腸疾患であり、現在原因は不明とされている。
小腸の末端部が好発部位であるが、口腔から肛門まで消化管の、どの部分にも炎症や潰瘍が発生しうる。また、特徴として敷石状潰瘍がみられる。
様々な症状がある状態を活動期、治療により症状が治まった状態を寛解期と言うが、この活動期と寛解期を繰り返すという特徴がある。
治療法は、栄養療法としては完全静脈栄養や、経腸栄養法。薬物療法としてはTNF-α抗体製剤が最近用いられている。