39-187, 188, 189 K診療所に勤務している管理栄養士である。患者は、80歳、男性。妻(75歳)と同居。中等度認知症。糖尿病でインスリン治療を 行っており、妻が管理している。月に1回、外来受診し、医師からエネルギー1,600kcal/日を指示されている。 車椅子での移動で、食事は自立している。妻が用意する3食の食事はきちんと食べてい る。甘い菓子が好きで、間食を楽しみにしている。 受診時、身長158cm、体重62kg、BMI24.8kg/m2。血圧120/70mmHg。 空腹時の血液検査値は、アルブミン3.9g/dL、血糖280mg/dL、HbA1c 10.0%、 トリグリセリド200mg/dL、AST 18U/L、ALT 22U/L、尿素窒素10.2mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL。

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39-187, 188, 189 次の文を読み「187」、「188」、「189」に答えよ。

K診療所に勤務している管理栄養士である。患者は、80歳、男性。妻(75)と同居。中等度認知症。糖尿病でインスリン治療を

行っており、妻が管理している。月に1回、外来受診し、医師からエネルギー1,600kcal/日を指示されている。

車椅子での移動で、食事は自立している。妻が用意する3食の食事はきちんと食べてい

る。甘い菓子が好きで、間食を楽しみにしている。

受診時、身長158cm、体重62kgBMI24.8kg/m2。血圧120/70mmHg

空腹時の血液検査値は、アルブミン3.9g/dL、血糖280mg/dLHbA1c 10.0%、

トリグリセリド200mg/dLAST 18U/LALT 22U/L、尿素窒素10.2mg/dLクレアチニン0.8mg/dL

 

39-187 この患者の血糖コントロール目標(HbA1c)として最も適切なのはどれか。1つ選べ。

⑴ 6.5% 未満

⑵ 6.57.5% 未満

⑶ 7.08.0% 未満

  7.5~8.5% 未満

 

39-188 医師は、インスリン投与量を増量した上で、管理栄養士による栄養食事指導を指示した。

患者の食事記録は表のとおりである。患者への指導として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

⑴ 昼食と夕食のご飯は、それぞれ2単位にしましょう。

⑵ 野菜の量を増やしましょう。

⑶ 間食は、2回から1回に減らしましょう。

⑷ コーヒーに砂糖を入れるのはやめましょう。

 

39-189 設問188の栄養食事指導の内容は遵守され3か月が経過した。空腹時血糖値140mg/dLHbA1c 8.4%。

栄養食事指導の際に、妻から、「血糖値が気になります。間食はやめさせた方が良いですか。」と相談があった。

管理栄養士の助言として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

⑴ 血糖コントロールを良好にするために、間食はやめましょう。

⑵ 間食は、1週間に1度食べる曜日を決めましょう。

⑶ 間食は、果物にしましょう。

⑷ 間食は、今のまま食べてもらって良いです。

 

厚生労働省. 『第39回管理栄養士国家試験の問題(午後の部)』(2025) .

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428961.pdf, (2025年8月17日閲覧)

解答・解説を見る

 

39-187 この患者の血糖コントロール目標(HbA1c)として最も適切なのはどれか。1つ選べ。

 

この患者は、中等度認知症インスリン治療中の糖尿病80歳男性である。

日本糖尿病学会糖尿病治療ガイド2024では

高齢者糖尿病の血糖コントロール目標値(HbA1c)が設定されている。

更新日は少し古いが日本糖尿病学会のこのページの図がわかりやすいので確認してほしい。
(中身は最新のものと同じ)

 

今回の対象者を中等度認知症インスリン治療中の糖尿病80歳男性

を上記のリンク先の表に照らし合わせると

  7.5~8.5% 未満

が正しい解答となる。

 

 


39-188 医師は、インスリン投与量を増量した上で、管理栄養士による栄養食事指導を指示した。

患者の食事記録は表のとおりである。患者への指導として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

 

この患者の食事摂取量を見ると炭水化物が多く、本来であれば制限する必要も出てくるが

インスリン投与量が増量されているので、低血糖を回避する必要もあり、極端な制限は却って危険である。

※インスリンによる血糖コントロールがうまくいかなくなる可能性がある。

 

⑴ 昼食と夕食のご飯は、それぞれ2単位にしましょう。

昼食と夕食のご飯の量、3単位(150g)を2単位(100g)にすると、

昼・夕合計で2単位分のご飯が減ることになる。これは減らし過ぎとなり不適である

 

⑵ 野菜の量を増やしましょう。

朝食のサラダや夕食の切り干し大根、(+昼食の肉じゃが)など

野菜の摂取量は比較的十分であると考えられ、

「患者への指導として、最も適切な選択肢」にはなり得ない。

※もし、この選択肢を正答として出題する場合、出題者は朝食のサラダを書かずに
野菜不足をかなり露骨にするはずである。

 

⑶ 間食は、2回から1回に減らしましょう。

間食の回数を減らすことで、嗜好品としての炭水化物(糖質)の摂取を減らすことができるので

最も適切であると考えられる。

 

⑷ コーヒーに砂糖を入れるのはやめましょう。

患者には、これまでの「コーヒー+砂糖」という食習慣が定着しており、

さらに中等度認知症であることから「コーヒーを飲むときに砂糖は使わないが徹底できるとは思えず適切とは言えない。

 

(3)も(4)も似たような内容であるが

(3)の「1回分の間食をやめる。」ことの方が患者にとって実行しやすいため(3)が最も適切な選択肢となる。

 

 


39-189 設問188の栄養食事指導の内容は遵守され3か月が経過した。空腹時血糖値140mg/dLHbA1c 8.4%。

栄養食事指導の際に、妻から、「血糖値が気になります。間食はやめさせた方が良いですか。」と相談があった。

管理栄養士の助言として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

 

問題文より、「栄養食事指導の内容は遵守され3か月が経過、空腹時血糖値140mg/dL、HbA1c 8.4%」と

改善傾向にあるため患者にとっては、新たに何かを制限するよりも、

現状を無理なく維持することの方が大切である。

また、妻の「血糖値が気になります。間食はやめさせた方が良いですか。」という悩みにも

「現状で大丈夫。無理せず継続しましょう。」と寄り添えるような内容であれば、なお良いものとなる。

これらの観点から選択肢の精査を行い、

⑷ 間食は、今のまま食べてもらって良いです。

が最も適切な助言となる。

 

⑴ 血糖コントロールを良好にするために、間食はやめましょう。

⑵ 間食は、1週間に1度食べる曜日を決めましょう。

⑶ 間食は、果物にしましょう。

上記の解説の通り、新たに何か制限する必要はなく、現状維持で良いので(1)〜(3)は不適となる。

 

文責:アヒル


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