〇(1) 急性糸球体腎炎の多くは、A群β溶血性連鎖球菌感染が関与する。
正しい文章です。A群β溶血性連鎖球菌、
通称「溶連菌」は急性糸球体腎炎の原因として頻出です。
溶連菌感染に伴って菌を形成する成分と
体内で産生される抗体が合体して「免疫複合体」を形成します。
この免疫複合体が糸球体に付着し、(なんやかんやあって)その周囲に炎症が生じます。
これが溶連菌感染による「急性糸球体腎炎」です。
※ちなみに免疫複合体によるものなので「III型アレルギー」です。
(2) 血圧値は、ネフローゼ症候群の診断基準に〔
含まれない 〕。
ネフローゼ症候群は糸球体の障害によって「尿中へたんぱく質が漏れ出てしまう状態」を指します。
本来、排泄されないはずのたんぱく質が排泄されてしまうので
低アルブミン血症やそれに伴う浮腫などをきたします。
なお、診断基準は下記の2項目が必須です。
・尿たんぱく 3.5g/日以上が持続
・低アルブミン血症 3.0g/dL以下
(3) 出血性ショックは、〔
腎前性 〕の急性腎障害
(AKI)の原因になる。
腎前性や腎後性の違いは、読んで字の如く、
原因が「腎臓よりも前」にあるか?「腎臓よりも後ろ」にあるか?の違いです。
「腎前性」・・・大量出血, 嘔吐, 下痢による循環血液量の減少
→腎臓に流れ込む血液が減少するので腎臓よりも前に原因があることになります。
「腎後性」・・・前立腺肥大や尿路結石など
→尿路の閉塞や狭窄により尿が鬱滞するので腎臓よりも後ろに原因があることになります。
ちなみに、腎臓そのものに問題がある場合はそのまま「腎性」となります。
(4) 慢性腎不全では、〔
高リン血症 〕がみられる。
腎臓ではリン(正確にはリン酸)を尿として排泄するか、再吸収するかを調節しています。
腎不全になるとこの調節が効かず排泄が出来なくなるため血中にリン酸が過剰に溜まり
「高リン血症」が生じます。
腎不全が進むとリンの摂取を抑える必要がありますが
リンの摂取量とたんぱく質の摂取量には相関があるため
両者を関連させて考える必要があります。
(5) 末期腎不全の合併症に、〔
二次性副甲状腺機能亢進症 〕がある。
腎臓は「ビタミンDを活性化する臓器」です。
末期の腎不全ではビタミンDの活性化がほとんど出来なくなっているため
本来、活性型ビタミンDが行う「消化管からのカルシウム吸収の促進」が出来ず
血中カルシウム濃度が減少してしまいます。
これを改善するために副甲状腺は過剰にはたらき
パラトルモン分泌をガンガン増やし、
骨吸収の促進や、カルシウム再吸収を促進させます。
末期腎不全による二次的な甲状腺機能亢進症なので
「二次性副甲状腺機能亢進症」と呼びます。
文責:アヒル