〇⑴ ある特定の栄養素摂取量と疾病との関連を検討する際に有用である。
例えば、エネルギー摂取量が多い人ほど、脂質の摂取量は自然と多くなる。このような場合は、エネルギー調整が必要となる。
脂質摂取量と肥満の関連を調べる際にエネルギー調整をしない場合は、脂質摂取量と肥満に関連があったとしてもそれがエネルギーによる影響なのか脂質摂取量によるものなのかはわからない。しかし、エネルギー調整をすることによって、エネルギーの影響を除いた上で、脂質摂取量と肥満との関連を検討することができる。
⑵ エネルギー調整からは、過小申告の程度を評価することは
できない。
過小申告とは、食事調査において対象者が実際に摂取した量よりも少ない量を申告することである。肥満であるほどエネルギー摂取量が過小申告されやすいことが報告されている。特に、肥満者はスナック類の食品の申告を忘れる傾向にあり、これがエネルギー摂取量の過小評価につながっている可能性があると指摘されている¹。
⑶ エネルギー産生栄養素以外の栄養素にも、用いることが
できる。
⑷ 脂肪エネルギー比率は、
密度法によるエネルギー調整値である。
密度法は、総エネルギー摂取量に対する栄養素摂取量の割合を求めるものである。
⑸
残差法によるエネルギー調整値は、観察集団のエネルギー摂取量の平均値を用いて算出する。
残差法は、集団のエネルギー摂取量と栄養素摂取量の関係を一時回帰式で求め、個人のエネルギー摂取量と栄養素摂取量の差を求めるものである。
References
1 Heitmann BL, Lissner L. Dietary underreporting by obese individuals–is it specific or non-specific? BMJ. 1995 Oct 14;311(7011):986-9. doi: 10.1136/bmj.311.7011.986. PMID: 7580640; PMCID: PMC2550989.