⑴ エネルギーは、2,200kcalとする。
一般的なエネルギー計算の30kcal/kgを用いると、
エネルギー量30 kcal × 60 kg(目標体重) = 1800 kcalとなる。
糖尿病性腎症なので、エネルギー付加はなく2200kcalは多すぎる。そのため不適となる。
選択肢の2200kcalから逆算しても、
2200 kcal ÷ 60 kg = 36.7kcal/kgとなり高すぎるので誤りとわかる。
⑵ たんぱく質は、30gとする。
たんぱく質30gは目標体重60kgから逆算すると0.5g/日となる。
もし仮に腎不全で一番厳しく制限しても、たんぱく質は0.6g/日までであるため
この選択肢では少なすぎるとわかる。
正確に計算するのであれば、尿アルブミン/クレアチニン比350mg/gCr、eGFR45mL/分/1.73m2から
糖尿病腎症の顕性アルブミン尿、顕性腎症期(第3期)と考えられる。
第3期では、たんぱく質を0.8〜1.0g/kg程度に制限するので
たんぱく質 = 0.8〜1.0g/kg × 60 kg(目標体重) = 48 g 〜 60 gとなり、
やはり30 gは不適となる。
⑶ 脂肪は、20gとする。
この選択肢も、選択肢から逆算する方がわかりやすい。
脂肪20 g ( = 180 kcal)であり、(1)の1800kcalから脂肪エネルギー比率を計算すると
脂肪(%E) = 180 ÷ 1800 = 10%Eとなる。
糖尿病性腎症では、たんぱく質を制限し、脂質を大きく制限することはないので
脂質の通常時(20〜30%E)と比べると、10%Eは低すぎるので誤りとわかる。
⑷ 食塩は、7.5gとする。
健常時でも、食塩は男性で7.5 gであり、
この問題は糖尿病性腎症なので制限するはずである。
ゆえに7.5 gは多すぎる。
実際には6.0 g未満に制限する。
〇⑸ カリウムは、1,800mgとする。
正しい。本来、顕性腎症期(第3期)であればカリウム制限は必要ないが
この問題では「カリウム5.7mEq/L」とあり、
高カリウム血症(5.5mEq/L以上で判定)が生じている。
顕性腎症期(第3期)では
カリウム制限なし(高カリウム血症があれば2000mg未満)と定められているので
2000mg未満、つまりこの選択肢は正しい。となる。
文責:アヒル