39-127 62歳、男性。無職。糖尿病腎症。身長165cm、体重63kg、目標体重60kg。血圧148/92mmHg。空腹時の血液検査値は、血糖151mg/dL、HbA1c 8.4%、尿素窒素38mg/dL、クレアチニン1.3mg/dL、eGFR45mL/分/1.73m2、カリウム5.7mEq/L。尿アルブミン/クレアチニン比350mg/gCr。この患者の1日当たりの目標栄養量として、最も適当なのはどれか。

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39-127  62歳、男性。無職。糖尿病腎症。身長165cm、体重63kg、目標体重60kg。血圧148/92mmHg

空腹時の血液検査値は、血糖151mg/dL、HbA1c 8.4%、尿素窒素38mg/dL、クレアチニン1.3mg/dLeGFR45mL//1.73m2、カリウム5.7mEq/L。尿アルブミン/クレアチニン比350mg/gCr

この患者の1日当たりの目標栄養量として、最も適当なのはどれか。1つ選べ。

 

⑴ エネルギーは、2,200kcalとする。

⑵ たんぱく質は、30gとする。

⑶ 脂肪は、20gとする。

⑷ 食塩は、7.5gとする。

⑸ カリウムは、1,800mgとする。

 

厚生労働省. 『第39回管理栄養士国家試験の問題(午後の部)』(2025) .

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428961.pdf, (2025年7月27日閲覧)

解答・解説を見る

 

⑴ エネルギーは、2,200kcalとする。

一般的なエネルギー計算の30kcal/kgを用いると、

エネルギー量30 kcal × 60 kg(目標体重) = 1800 kcalとなる。

糖尿病性腎症なので、エネルギー付加はなく2200kcalは多すぎる。そのため不適となる。

 

選択肢の2200kcalから逆算しても、
2200 kcal ÷ 60 kg = 36.7kcal/kgとなり高すぎるので誤りとわかる。

 

⑵ たんぱく質は、30gとする。

たんぱく質30gは目標体重60kgから逆算すると0.5g/日となる。

もし仮に腎不全で一番厳しく制限してもたんぱく質は0.6g/日までであるため

この選択肢では少なすぎるとわかる。

 

正確に計算するのであれば、尿アルブミン/クレアチニン比350mg/gCr、eGFR45mL//1.73m2から

糖尿病腎症の顕性アルブミン尿、顕性腎症期(第3期)と考えられる。

第3期では、たんぱく質を0.8〜1.0g/kg程度に制限するので

たんぱく質 = 0.8〜1.0g/kg × 60 kg(目標体重) = 48 g 〜 60 gとなり、

やはり30 gは不適となる。

 

⑶ 脂肪は、20gとする。

この選択肢も、選択肢から逆算する方がわかりやすい。

脂肪20 g ( = 180 kcal)であり、(1)の1800kcalから脂肪エネルギー比率を計算すると

脂肪(%E) = 180 ÷ 1800 = 10%Eとなる。

糖尿病性腎症では、たんぱく質を制限し、脂質を大きく制限することはないので

脂質の通常時(20〜30%E)と比べると、10%Eは低すぎるので誤りとわかる。

 

⑷ 食塩は、7.5gとする。

健常時でも、食塩は男性で7.5 gであり、

この問題は糖尿病性腎症なので制限するはずである。

ゆえに7.5 gは多すぎる。

実際には6.0 g未満に制限する

 

⑸ カリウムは、1,800mgとする。

正しい。本来顕性腎症期(第3期)であればカリウム制限は必要ない

この問題では「カリウム5.7mEq/L」とあり、

高カリウム血症(5.5mEq/L以上で判定)が生じている

 

顕性腎症期(第3期)では

カリウム制限なし(高カリウム血症があれば2000mg未満)と定められているので

2000mg未満、つまりこの選択肢は正しい。となる。

 

文責:アヒル


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