卵巣の機能が徐々に消失し、月経が停止する前後5年程度の期間を更年期という。
更年期は以下のようなホルモン分泌の変化が起こり、身体に影響を与える。
①卵巣から分泌されるホルモンが減少する
・卵巣の卵胞から分泌されるエストロゲン
・卵巣の黄体から分泌されるプロゲステロン
この2つのホルモンの分泌が減少する。
②フィードバックで分泌が増加するホルモンがある
エストロゲン、プロゲステロンの減少により、
下垂体前葉からはこの2つのホルモンの分泌を促進するホルモン(卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモン)の分泌が増加する。
また、この2つのホルモン(卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモン)の分泌を促進するために
視床下部での性腺刺激ホルモン放出ホルモンの分泌も増加する。
これらの「増加するホルモン’s」は
エストロゲンやプロゲステロンの分泌が低下し、不足しているので
もっとたくさん分泌しろ!!と命令するホルモンである。
また、エストロゲンには以下のような作用がある。
・脂質代謝の制御(LDLコレステロールやTGを減らし、HDLコレステロールを増やす)
・骨吸収の抑制
・インスリン抵抗性の抑制
・一酸化窒素産生(動脈硬化の抑制)
しかし、更年期ではエストロゲン分泌が抑制される為、これらの作用が減弱し、
脂質異常症、骨粗鬆症、耐糖能異常、動脈硬化などが起こりやすくなる。
⑴ インスリン感受性は、〔 低下 〕する。
エストロゲンにはインスリン抵抗性を抑制する作用がある。
更年期ではエストロゲン分泌量が減少するため、インスリン感受性が低下する。
(=インスリンが正常に作用せず、血糖値が下がりにくくなるなど、耐糖能異常が起こりやすくなる)
⑵ プロゲステロンの分泌量は、〔 減少 〕する。
卵巣の機能が失われつつあるため、卵巣から分泌できるホルモンの量は減少していく。
⑶ 骨吸収は、〔 促進 〕される。
エストロゲンには骨吸収を抑制する働きがある。
更年期ではエストロゲン分泌量が減少するため、骨吸収が骨形成を上回り、骨密度の低下につながる。
⑷ 血中LDLコレステロール値は、〔 上昇 〕する。
エストロゲンには血中LDLコレステロールを減らす働きがある。
更年期ではエストロゲン分泌量が減少するため、
血中LDLコレステロール値が上昇しやすく、脂質異常症のリスクが高くなる。
〇⑸ 血中HDLコレステロール値は、低下する。
正しい文章である。
エストロゲンには血中HDLコレステロールを増やす働きがある。
更年期ではエストロゲン分泌量が減少するため、血中HDLコレステロール値が低下しやすく、脂質異常症のリスクが高くなる。
類似問題
36-92 更年期の女性にみられる生理的変化に関する記述である。
35-92 更年期の女性の生理的変化に関する記述である。
34-93 更年期女性の生理的変化に関する記述である。
32-95 更年期の女性に起こる変化である。
26-100 更年期の女性に起こる変化に関する記述である。
文責:アヒル(O)