38-146 食事調査における変動および誤差に関する記述である。

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38-146 食事調査における変動および誤差に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

⑴ 日間変動は、個人間変動の一種である。

⑵ 集団の平均摂取量の推定では、調査対象者の数を増やすと偶然誤差が小さくなる。

⑶ 選択バイアスは、調査対象者の数を増やすことで軽減できる。

⑷ 情報バイアスは、偶然誤差の一種である。

⑸ エネルギー摂取量は、BMIが高い者ほど過大申告しやすい。

 

厚生労働省. 『第38回管理栄養士国家試験の問題(午後の部)』(2024) . https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001218344.pdf. (2024年 7月18日閲覧)

解答・解説を見る

 

⑴ 日間変動は、〔個人内変動〕の一種である。

個人内変動とは、ある個人の食事が毎日少しずつ違うことによって、個人の中で生まれる変動である。日間変動は、個人内変動の代表的なものである¹。

 

⑵ 集団の平均摂取量の推定では、調査対象者の数を増やすと偶然誤差が小さくなる。

偶然誤差は文字通り偶然に起こる誤差である¹。偶然誤差は、調査対象者の数を増やしたり、調査(測定)の回数を増やすことによって小さくすることができる¹。

一方、系統誤差は、ある一定の方向に一定の値だけずれて測定されてしまうような誤差である¹。系統誤差は、測定に使う機械の故障、測定に用いる機械が適切でない場合、調査の手順が不適切な場合など、様々な状況で起こりうる。この系統誤差は、いくら対象者の数を増やしてもなくすことはできない。測定方法や調査手順の見直しなど、系統誤差の原因となっている根本的な問題に対処する必要がある。

 

⑶ 選択バイアスは、〔調査対象者をランダム [無作為]に抽出する〕ことによって軽減できる可能性がある。

選択バイアスとは、調査対象者が特定の傾向を持つ人たちに偏ってしまうことによるバイアスである。

例えば、ある健康教室に参加した人を調査対象者とした場合、健康意識が高い傾向を持つ集団となる可能性がある。この場合に、この集団から得られた結果は、地域住民を代表するものとは言い難い。

 

⑷ 情報バイアスは、〔系統誤差〕の一種である。

情報バイアスとは、研究対象者のグループ間で得られた情報の質が異なる場合に生じる。このバイアスは偶然ではなく、調査方法が適切でないことによって系統的に生じる誤差である。

 

⑸ エネルギー摂取量は、BMIが高い者ほど〔過少申告〕しやすい²。

エネルギー摂取量は、BMIが高い者ほど過少申告(真の摂取量よりも少なく報告)する²。

 

参考文献

  1. 佐々木敏. 同文書院「わかりやすいEBNと栄養疫学」(2005). 
  2. Goldberg GR, Black AE, Jebb SA, et al. Critical evaluation of energy intake data using fundamental principles of energy physiology: 1. Derivation of cut-off limits to identify under-recording. Eur J Clin Nutr. 1991;45(12):569-581.


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