38-124 32 歳、男性。クローン病。事務職。身長 168 cm、体重 56 kg、BMI 19.8 kg/m2、 標準体重 62 kg。血液検査値は、アルブミン 3.8 g/dL、CRP 2.6 mg/dL。この患者の寛解導入期の 1 日当たりの目標栄養量である。

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38-124  32 歳、男性。クローン病。事務職。身長 168 cm、体重 56 kgBMI 19.8 kg/m2、標準体重 62 kg。血液検査値は、アルブミン 3.8 g/dLCRP 2.6 mg/dL。この患者の寛解導入期の 1 日当たりの目標栄養量である。 最も適当なのはどれか。 1つ選べ。

 

⑴ エネルギーは、2,200 kcal とする。

⑵ たんぱく質は、60 g とする。

⑶ 脂肪は、70 g とする。

⑷ 食物繊維は、30 g とする。

⑸ 飲水量を含めて、水分は 1,000 mL とする。

 

厚生労働省. 『第38回管理栄養士国家試験の問題(午後の部)』(2024) .

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001218344.pdf, (2024年10月23日閲覧)

 

解答・解説を見る

 

 

⑴ エネルギーは、2,200 kcal とする。

正しい選択肢です。

クローン病の寛解導入期では、摂取エネルギー量を通常よりも少し増加させる必要があり

国試では「35 〜 40kcal/kg標準体重/日」を用いて算出します。

問題文にはすでに標準体重62kgが与えられているので、これを用いて計算すると

2170 kcal 〜 2480 kcal となり、2200 kcalは正しいということになります。

※ひとまず「35kcal/kg標準体重/日」で計算し、
問題文に、顕著な体重減少の情報があれば「40kcal/kg標準体重/日」で計算してみましょう。

※扱う数値について質問がありましたので記事のコメント欄に回答を記載しています。
よければそちらもご確認ください。

 

⑵ たんぱく質は、60 g とする。

クローン病では「腸管内に漏出するたんぱく質分の補充」や「摂取エネルギー量の増加分」と見て

たんぱく質摂取量は通常の1.0g/kg標準体重/日よりは増やす必要があります。

したがって標準体重62kgの患者に対し、60gの摂取量は少ないです。

 

ちなみに何g摂取させるべきか?については以下の2通りの考え方ができます。

・少し増やす(1.2〜1.5g/kg標準体重/日)で考える場合

62kg × (1.2〜1.5) = 74.4g 〜93.0 g

・PFC比(P比13%E〜20%E)で考える場合

2200kcal × (13%E〜20%E) = 286.0 〜 440.0 kcal → 71.5 g 〜 110.0 g

 

よく質問されますが「?g/kg標準体重/日」でも「PFC比」でもだいたい同じ値が得られます。

このような場合で、たんぱく質は何g摂取させるべきか?と問われる場合はおそらく

75g〜85gあたりのどちらの計算をしても範囲内におさまる選択肢が登場するかなと思います。

※もしくは50gとか120gなど大幅に外れた値。

※※73gなどで迷わせるような選択肢は登場しません。

 

⑶ 脂肪は、〔 20〜30 gとする。

クローン病では脂肪を「20〜30g/日以下」に制限します。

また可能であればn-3系の不飽和脂肪酸を多めに摂取します。

 

⑷ 食物繊維は、〔 10〜15 gとする。

クローン病では低残渣食とするため食物繊維は10~15g程度に制限されます。

健康な場合でも20g前後なので選択肢の30gは多すぎることになります。

 

⑸ 飲水量を含めて、水分は 1,000 mL とする。

水分摂取を制限する疾病ではないため1000mLは少なすぎます。

むしろ消化不良や下痢などを起こしていることが多いため、

水分摂取制限を行うと脱水症を起こす可能性まであります。

健康な人と同様に2L/日程度の摂取が必要です。

 

クローン病の食事は出題する項目が多く

国試頻出なのでしっかりおさえておきましょう。

 

文責:アヒル


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