⑴ Japan Coma Scale Ⅱ 20 Ⅲ 100
Japan Coma Scale (JCS)は意識状態を段階別に表すもので、
数字が大きくなるほど「全く意識が無い」に近づきます。
救命救急系のドラマで「意識レベル300!!」など聞いたことがあると思いますがアレです。
JCSはまず、下記のように大きく3つに分類されます。
「I:刺激しないでも覚醒している」
「II:刺激で覚醒するが、刺激をやめると眠り込む」
「III:刺激しても覚醒しない」
となります。そして、問題文からもわかるように
入院時と入院4日目で「II」から「III」に「悪化」することはありえないので誤りです。
意識レベルはI〜IIIに分けた後、さらに
「I–1, I–2, I–3」「II–10, II–20, II–30」
「III–100, III–200, III–300」と、各区分3つに分けられます。
前述の「意識レベル300!!」はこれらの区分の中でも
一番数字が大きいもので「痛み刺激にも反応しない」状態です。深刻ですね。
⑵ 起座呼吸 なし あり
仰臥位(仰向け)の場合、全身から心臓に戻ってくる血液が増加するので
結果として肺に進む血液量が増加し、肺うっ血がひどくなり呼吸が苦しくなります。
この現象は座位(または上半身を起こした状態)にすることで軽減できるため
起座(起きるor座る)で呼吸が楽になる→「起座呼吸」と言います。
故に、心不全の症状軽減により起座呼吸はおさまるはずなので誤肢となります。
〇⑶ 体重(kg) 55 52
正しい組み合わせです。
入院時から利尿薬が投与されているので「利尿」=「尿量の増加」が起き、
日が経つにつれて「循環血液量」が減り、体重が減ります。
念のため記載しておくと、心不全の時に利尿薬を投与するのは
上記のように「循環血液量」を減らし、うっ血を軽減させるためです。
⑷ 頸静脈怒張 なし あり
頸静脈怒張が生じるのは静脈中の血液が多くなっているときで、
「心不全によって体内でうっ血が生じているとき」と置き換えることができます。
(3)の解説のように利尿薬によって循環血液量は低下しているはずなので
4日目に頸静脈怒張が生じることはなく「アリ→ナシ」であれば妥当な選択肢となります。
⑸ 心拍数(回/分) 60 120
心不全により心臓のポンプ機能が低下すると1回の拍動で全身に送り出せる血液量は低下します。
これに対応するため、心臓は通常よりも拍動数を増やし、頑張って全身に血液を送り出そうとします。
そのため入院時(心不全の初期)の方が、4日目よりも心拍数は多いはずです。
症状が改善されたにも関わらず、入院時に比べて4日目に倍増することはあり得ません。
文責:アヒル