39-125 75歳、女性。心不全。軽度の身体活動で呼吸苦があり、状態が悪化して入院となった。 浮腫も認められ、利尿薬の投与が開始された。身長150cm、体重45kg、BMI 20.0kg/m2。 空腹時の血液検査値は、ナトリウム135mEq/L、カリウム4.0mEq/L、クレアチニン0.6mg/dL。 かろうじて経口摂取ができている。この患者の1日当たりの目標栄養量として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

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39-125  75歳、女性。心不全。軽度の身体活動で呼吸苦があり、状態が悪化して入院となった。

浮腫も認められ、利尿薬の投与が開始された。身長150cm、体重45kg、BMI 20.0kg/m2

空腹時の血液検査値は、ナトリウム135mEq/L、カリウム4.0mEq/L、クレアチニン0.6mg/dL

かろうじて経口摂取ができている。この患者の1日当たりの目標栄養量として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

⑴ エネルギーは、1,600kcalとする。

⑵ たんぱく質は、60gとする。

⑶ 食塩は、3gとする。

⑷ 水分は、2,000mLとする。

 

厚生労働省. 『第39回管理栄養士国家試験の問題(午後の部)』(2025) .

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428961.pdf, (2025年4月20日閲覧)

解答・解説を見る

問題文より、この患者は心不全の悪化で呼吸苦を呈し入院している。

浮腫があり、利尿薬の投与も始まっている。これを前提に考える。

 

⑴ エネルギーは、〔 1,350kcalとする。

一般的なエネルギー計算で

エネルギー量30kcal × 体重45kgで計算すると1,350kcalとなる。

心不全では特にエネルギー量を付加する疾病ではない(むしろ過度に摂取させない疾病)ので

選択肢の1,600kcalは多すぎるため誤りとなる。

逆算しても1600kcal ÷ 45kg = 35.555kcal/kgとなり、エネルギー量として高いことがわかる。
(35kcal/kgを超える疾病はなかなかない)

 

⑵ たんぱく質は、60gとする。

(1)で求めた1350kcalをもとに、たんぱく質エネルギー比率を計算すると、

たんぱく質60 g × 4kcal/g =240 kcal

240kcal ÷ 1350 kcal = 17.8%となる。

対象者(75歳)のたんぱく質エネルギー比率の範囲

食事摂取基準では15〜20%と設定されているため

上記計算結果は適した値となる。

 

別解

対象者の標準体重(BMI=22)は約50 kg( 1.5m × 1.5 m × 22 = 49.5 kg ≒ 50 kg)  となり、

高齢者で、たんぱく質はしっかりと摂る必要があるため

体重50 kg × (1.0〜1.2 g/kg) = 50 〜 60 gとなりやはり正しい。

 

BMI22の計算に時間がかかるので上記の方が解きやすいが

(1)が計算できている前提になるので、どちらで計算するかは、お好みに応じて。

 

⑶ 食塩は、〔 6 gとする。

高齢者では、食塩の味覚閾値が高くなっている(塩味を感じづらくなっている)ため

極端に食塩制限を行うと、「味がしない(感じない)」と思うようになり、

食欲が低下し却って栄養不良の原因となる。

そのためガイドラインでも食塩は6g程度と設定されている。

 

⑷ 水分は、2,000mLとする。

浮腫が生じているため、ある程度の水分制限が必要であるが、

利尿薬の投与も始まっているため、厳しい水分制限までは行う必要はない

その上で考えると、選択肢の水分2000 mLは健常時の摂取水分量であるため、

厳しい水分制限を行う、厳しい水分制限を行わないにしても、

2000 mLは多すぎるため誤りとわかる。

 

文責:アヒル


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