問題文より、この患者は心不全の悪化で呼吸苦を呈し入院している。
浮腫があり、利尿薬の投与も始まっている。これを前提に考える。
⑴ エネルギーは、〔 約1,350kcal 〕とする。
一般的なエネルギー計算で
エネルギー量30kcal × 体重45kgで計算すると1,350kcalとなる。
心不全では特にエネルギー量を付加する疾病ではない(むしろ過度に摂取させない疾病)ので
選択肢の1,600kcalは多すぎるため誤りとなる。
逆算しても1600kcal ÷ 45kg = 35.555kcal/kgとなり、エネルギー量として高いことがわかる。
(35kcal/kgを超える疾病はなかなかない)
〇⑵ たんぱく質は、60gとする。
(1)で求めた1350kcalをもとに、たんぱく質エネルギー比率を計算すると、
たんぱく質60 g × 4kcal/g =240 kcal
240kcal ÷ 1350 kcal = 17.8%となる。
対象者(75歳)のたんぱく質エネルギー比率の範囲は
食事摂取基準では15〜20%と設定されているため
上記計算結果は適した値となる。
別解
対象者の標準体重(BMI=22)は約50 kg( 1.5m × 1.5 m × 22 = 49.5 kg ≒ 50 kg) となり、
高齢者で、たんぱく質はしっかりと摂る必要があるため
体重50 kg × (1.0〜1.2 g/kg) = 50 〜 60 gとなりやはり正しい。
BMI22の計算に時間がかかるので上記の方が解きやすいが
(1)が計算できている前提になるので、どちらで計算するかは、お好みに応じて。
⑶ 食塩は、〔 6 g 〕とする。
高齢者では、食塩の味覚閾値が高くなっている(塩味を感じづらくなっている)ため
極端に食塩制限を行うと、「味がしない(感じない)」と思うようになり、
食欲が低下し、却って栄養不良の原因となる。
そのためガイドラインでも食塩は6g程度と設定されている。
⑷ 水分は、2,000mLとする。
浮腫が生じているため、ある程度の水分制限が必要であるが、
利尿薬の投与も始まっているため、厳しい水分制限までは行う必要はない。
その上で考えると、選択肢の水分2000 mLは健常時の摂取水分量であるため、
厳しい水分制限を行う、厳しい水分制限を行わないにしても、
2000 mLは多すぎるため誤りとわかる。
文責:アヒル