39-114 傷病者のエネルギー必要量に関する記述である。

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39-114 傷病者のエネルギー必要量に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

⑴ ハリス-ベネディクト(Harris–Benedict)の式で算出された値は、推定エネルギー必要量である。

⑵ ハリス-ベネディクト(Harris–Benedict)の式には、体表面積を用いる。

⑶ 脳梗塞により意識障害をきたした患者のエネルギー必要量は、基礎代謝量の1.5倍とする。

⑷ 安静時エネルギー消費量は、間接熱量計で測定できる。

⑸ 重症熱傷患者では、NPC/Nを健常時より高くする。

厚生労働省. 『第39回管理栄養士国家試験の問題(午後の部)』(2025) .

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428961.pdf, (2025年4月20日閲覧)

解答・解説を見る

⑴ ハリス-ベネディクト(Harris–Benedict)の式で算出された値は、〔 基礎代謝量 〕である。

⑵ ハリス-ベネディクト(Harris–Benedict)の式には、〔 年齢身長体重 〕を用いる。

ハリス-ベネディクト(Harris–Benedict)の式は、

年齢身長体重3項目を用いて基礎代謝量を算出する計算式である。

基礎代謝量を算出後、身体活動レベルを掛けるとエネルギー必要量を算出することができる。
(※乳児・幼児・妊娠期・授乳期・ストレス係数など、追加する例外あり)

 

⑶ 脳梗塞により意識障害をきたした患者のエネルギー必要量は、基礎代謝量の〔 1.0〜1.2倍 〕とする。

「脳梗塞により意識障害をきたした患者」なので

・ベッド上寝たきりと考えて活動係数は1.0〜1.1

・発熱や感染症、術後、熱傷ではないので、少なくとも1.2倍以上にはならない

これらを踏まえると1.5倍は高すぎるため誤りとなる。

 

⑷ 安静時エネルギー消費量は、間接熱量計で測定できる。

正しい。間接熱量計は、酸素マスクのようなものを装着し

酸素消費量二酸化炭素排出量を測定することで、体内のエネルギー消費量を算出する方法である。

ダグラスバッグ法などを見たことがあると思う。

 

⑸ 重症熱傷患者では、NPC/Nを健常時より〔 NPC/N比は低くなる 〕する。

NPC/N比(非たんぱく質エネルギー/窒素比)は、

たんぱく質以外からのエネルギー摂取量(kcal) ÷ 窒素(g) で計算することができる。

さらに、計算式から「食事中のたんぱく質を減らせば減らすほどNPC/N比が高くなる」こと、

反対に、「食事中のたんぱく質を増やせば増やすほどNPC/N比が低くなる」ことがわかる。
※「分数の分子(kcal)が大きくなり、分母(g)が小さくなる」または
「分数の分子(kcal)が小さくなり、分母(g)が大きくなる」から。

重症熱傷時は、一般的にたんぱく質を増やす必要があるため

NPC/N比は低くなる

 

例題

糖質1200kcal, 脂質500kcal, たんぱく質300kcal (P15%E, F25%E, C60%E)の場合のNPC/N比を求める。

 

まず、たんぱく質以外からのエネルギー摂取量(kcal)は、1200kcal + 500kcal = 1700kcal となる。

次に、窒素(g)は「たんぱく質(kcal)→たんぱく質(g)→窒素(g)」と変換すれば算出できるので

たんぱく質(kcal)→たんぱく質(g):300 (kcal) ÷ 4 (kcal/g) = 75 (g)

たんぱく質(g)→窒素(g)     :75(g) ÷ 6.25 = 12 (g)となる。

よってNPC/N比は、1700 kcal/12 g ≒ 141.7となる

 

 

文責:アヒル


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