遺伝子多型とはヒトの遺伝子配列(塩基配列)における「個人差」のことを指します。
さらに、ごく稀に生じる「突然変異」とは異なり、
特定の集団の中で1%以上がその変異を持っている場合に限り「遺伝子多型」と呼びます。
「1%以上が有する変異」=「致死性の変異ではない」ので、
「お酒に強い・弱い」「太りやすい・太りにくい」などの体質に関わるものが多いです。
※「致死性の変異」の場合は出生前または出生直後に死亡するため人口の1%も存在しない。
また、遺伝子多型の中でも例えば、
DNAの「ATGCATGC」配列が「ATGCATCC」配列のように
一塩基のみ変化している場合を
「一塩基多型 (SNPs:Single Nucleotide Polymorphisms」と呼びます。
〇⑴ 一塩基多型はSNPsと呼ばれる。
正しい文章です。前段の解説の通り一塩基多型はSNPs(スニップ)と呼ばれます。
⑵ 〔
先天的 〕要因により生じる。
遺伝子多型はDNAの塩基配列の違いによるものなので、
生まれる前には既に塩基配列が決まっています。
ですので「先天的」な要因によって生じます。
「後天的」な要因によるものとしては、出生後の放射線曝露や毒物によるDNAの損傷および修復時のエラーなどが挙げられます。
〇(3) 出現頻度には人種差がある。
正しい文章です。遺伝子多型の出現頻度は人種によってかなり偏りがあります。
アルコール代謝に関与する酵素の活性は、
欧米人が高く(お酒に強い)、日本人は低い(お酒に弱い)傾向にありますが
これはアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の遺伝子多型によるものです。
〇(4) 生活習慣病の発症要因となる。
正しい文章です。前段や(3)の解説の通り、遺伝子多型は「体質」に関わるものが多く
その中でも「太りやすい変異」や「脂肪分解に関わる変異」などを有する場合、それらが生活習慣病の発症要因のひとつとなります。
生活習慣病に関与するとされるいくつかの遺伝子多型は「倹約遺伝子」とも呼ばれることがあり、
誤肢として「倹約遺伝子は単一の遺伝子変異である」と出題されることがあるので注意しましょう。
〇(5) ヒトの集団の1%以上にみられる。
正しい文章です。前段の解説の通りです。
文責:アヒル