(1) 喫煙者では、ヘモグロビン濃度が〔
上昇 〕する。
煙草の煙の中には一酸化炭素が含まれています。
一酸化炭素は赤血球と強力に結合(酸素の200倍)し、
「赤血球による酸素運搬を阻害」します。
頻繁に喫煙をする人では「慢性的に」酸素運搬が阻害されることとなり、
全身の細胞が酸欠のような状態になります。
そのままでは生きていけないので身体は「赤血球をもっと作らないと!!」と考え
結果的に「ヘモグロビン濃度」は上昇します。[1]
(2) 血友病では、プロトロンビン時間〔
は短縮しない 〕。
血友病ではプロトロンビン時間に変化はありません。
血友病で変化としては「活性化部分トロンポプラスチン時間(APTT)の延長」があります。
35-39 血液疾患に関する記述である。の(1)にも同様の選択肢が出題されています。
〇 (3) 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)には、ヘリコバクター・ピロリ菌感染が関与する。
正しい文章です。もともと原因不明であったため「特発性」と名付けられましたが
近年、ITPの患者さんのピロリ菌を除菌すると半数以上の患者さんの血小板量が回復することから
ピロリ菌感染が要因の一つとして考えられています。[2]
(4) 播種性血管内凝固症候群
(DIC)では、フィブリン分解産物
(FDP)が〔
増加 〕する。
播種性血管内凝固症候群(DIC)では全身の血管内、あらゆるところで異常な血液凝固が生じ
フィブリンによる微細な血栓ができています。
その血栓を放置していると、血管が詰まってしまうので
身体は血栓(フィブリン)を分解しますが、その際に「フィブリン分解物(FDP)」が出来てくるので
播種性血管内凝固症候群(DIC)では、フィブリン分解産物(FDP)が増加します。
(5)
急性白血病では造血幹細胞(全ての血球のもとになる細胞)が少しだけ成熟した細胞が
ガン化し、急激に白血病細胞が増えていくことで生じるものです。
正常な血球の分化(形成・成熟etc)が出来なくなるので
赤血球、血小板など全ての血球の合成に障害が生じます。
これを「汎血球減少」と呼び、この言葉は
「再生不良性貧血」などでも登場します。
[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット. 「一酸化炭素」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/一酸化炭素(いっさんかたんそ)について(2024年7月24日閲覧)
[2]
公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター 「特発性血小板減少性紫斑病」
https://www.nanbyou.or.jp/entry/157 (2024年7月24日閲覧)
文責:アヒル