38-28 循環器疾患に関する記述である。

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38-28 循環器疾患に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

⑴ 褐色細胞腫は、本態性高血圧の原因となる。

⑵ 新規発症した狭心症は、安定狭心症である。

⑶ 急性心筋梗塞では、血中クレアチンキナーゼ(CK)値が上昇する。

⑷ 下肢の閉塞性動脈硬化症は、肺塞栓のリスク因子である。

⑸ 脚気心は、ビタミンB6欠乏で起こる。

 

厚生労働省. 『第38回管理栄養士国家試験の問題(午前の部)』(2024) . https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001218343.pdf, (2024年7月18日閲覧)

 

解答・解説を見る

 

(1) 褐色細胞腫は、〔 二次性高血圧 〕の原因となる。

選択肢中の「本態性高血圧」は「原因がはっきりしないもの」を指します。

食習慣や肥満、飲酒、喫煙、加齢など様々な原因の複合、

いわゆる生活習慣によるものが多いです。

二次性はその名の通り「二次的なもの」なので

腎疾患」など原因がはっきりしている高血圧がこれにあたります。

なお、「褐色細胞腫」の場合、

カテコールアミン(アドレナリンやノルアドレナリン)の過剰分泌により高血圧」が引き起こされます。

 

 

(2) 新規発症した狭心症は、〔 不安定狭心症 〕である。

狭心症(冠動脈が狭くなる≒少しだけ血流はある)は悪化すると

心筋梗塞(冠動脈が完全に詰まってしまう)につながる病気ですが

心筋梗塞につながりやすい狭心症を「不安定狭心症」と呼び、

新規発症したものはこちらに該当します。

選択肢の「安定狭心症(労作性)」とは労作(日常の活動や運動など)により

胸を締め付けられるような苦しさやが生じるもので比較的短時間で治ります。

 

 

(3) 急性心筋梗塞では、血中クレアチンキナーゼ(CK)値が上昇する。

正しい文章です。

本来、クレアチンキナーは筋肉などに存在する酵素で、

細胞外や血中にはあまり存在していません。

しかし心筋梗塞などで心筋の細胞が壊死すると、

クレアチンキナーゼは細胞内から細胞外へと流出します。

本来あるはずの場所から逸脱するので、このような酵素を

逸脱酵素」と呼びます。逸脱酵素はこのほかに、

ALT, ASTやLDH(乳酸脱水素酵素)など様々あります。

 

なお、心筋梗塞以外にも横紋筋融解や

激しい運動による筋肉の損傷でも

CK値は上昇するので注意が必要です。

 

 

(4) 下肢の〔 深部静脈血栓症 〕は、肺塞栓のリスク因子である。

下肢で生じた静脈血栓はそのまま心臓(右心房)まで戻ってきます。

下肢(末梢)から心臓(中心)までの血管は、どんどん太くなっていくので

ここまでの道中で血栓はどこにも詰まりません。

しかしこのあと、血栓は右心房→右心室を経て、さらに肺へと流れていきます。

肺動脈から肺胞の毛細血管までの道のり(血管)はどんどん細くなっていくので

血栓は道中、どこかで詰まってしまいます。これが「肺塞栓」です。

 

選択肢中の「閉塞性動脈硬化症」は

読んで字の如く、「動脈閉塞」しているので

「心臓→足先」に至るまでの動脈が閉塞している状態です。

この血管が閉塞するので、足先への血流が滞り、痺れたりします。

また最悪の場合、足先の壊死や切断を伴います。

 

 

(5) 脚気心は、〔 ビタミンB欠乏 〕で起こる。

「脚気」といえばビタミンB1欠乏です。

特に解説することがないので以下、基礎栄養学で登場する偉人たち。

高木兼寛が食事介入を実施し「脚気の原因は食事では?」と提唱。

エイクマンが米ぬか中に脚気に効く成分があることを発見。

フンクが米ぬかからその成分を単理抽出し、

Vital(生命)に必須のamine(アミン) = Vitamine と名付けた。

※のちにアミン以外のビタミンの存在もわかりeは外れVitaminとなった。

(フンクと同時期に鈴木梅太郎も米ぬかから同成分を抽出しオリザニンと名付けていた)

 

文責:アヒル


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