38-132 29 歳、女性。身長155 cm、体重26 kg、BMI10.8 kg/m2。神経性やせ症と診断され、精神科に通院していた。最近食事を全く摂らなくなり、動けなくなったため、救急搬送され入院となった。この患者における入院中の栄養管理に関する記述である。

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38-132  29 歳、女性。身長 155 cm、体重 26 kgBMI 10.8 kg/m2。神経性やせ症と診断され、精神科に通院していた。最近食事を全く摂らなくなり、動けなくなったため、救急搬送され入院となった。この患者における入院中の栄養管理に関する記述である。最も適当なのはどれか。 1つ選べ。

 

⑴ 経管栄養は、禁忌である。

⑵ エネルギーは、2,000 kcal/日から開始する。

⑶ たんぱく質は、制限する。

⑷ 嗜好食品は、禁止する。

⑸ 血清カリウム値を、モニタリングする。

 

厚生労働省. 『第38回管理栄養士国家試験の問題(午後の部)』(2024) .

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001218344.pdf, (2024年11月1日閲覧)

 

解答・解説を見る

 

⑴ 経管栄養は、禁忌である

神経性やせ症で経口摂取が困難な場合積極的に経腸栄養や静脈栄養を利用するべきです。

 

⑵ エネルギーは、〔 500 kcal/日 〕から開始する。

神経性やせ症やその他の疾患などで、中長期間、ほとんど摂食ができていない場合に

いきなり健常時と同様の栄養素摂取を行うと

リフィーディング症候群をきたすため非常に低いエネルギー摂取から始める必要があります。

一般的に500kcal〜1000kcal/日または10〜15kcal/kg標準体重/日と言われていますが

国試では「500kcal程度」で覚えておけば問題ないと思います。

今回のように、誤肢として健康な時と同じだけのエネルギーを摂取するが頻出するのでその辺りも把握しておきましょう。

 

⑶ たんぱく質は、〔 積極的に摂取 〕する。

(2)の解説のように摂取エネルギー量がかなり低く制限されるので

サルコペニアなどの予防も兼ねて、たんぱく質は積極的に摂取する必要があります

 

⑷ 嗜好食品は、禁止する。

嗜好食品を禁止する必要はなく、「嗜好食品であれば摂取できる」などの場合、

積極的に活用し栄養素の摂取や体重増加を目指す方が良いとされています。

 

⑸ 血清カリウム値を、モニタリングする。

正しい選択肢です。

絶食や摂食障害から、急激に栄養素やエネルギーの摂取をした場合、

リフィーディング症候群のリスクがあります。

リフィーディング症候群では、

血糖値の増加や血中のカリウムやリンが細胞内に取り込まれることで

血清カリウムやリンの量が急激に低下し、意識障害や心不全を引き起こす可能性があります。

そのため血清カリウム値をモニタリングし、リフィーディング症候群を避ける必要があります。

 

文責:アヒル


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