⑴ インスリンは、リポたんぱく質リパーゼ活性を〔 上昇 〕させる。
リポたんぱく質リパーゼの活性が高くなるのは、リポたんぱく質が増えるとき、もう少し詳細にいうと
血中のキロミクロンやVLDLが多くなったときである。
キロミクロンやVLDL内の脂肪(トリグリセリド)を分解して細胞内に脂肪酸を取り込ませる働きがある。
キロミクロンやVLDLが多くなるのは食後なので、リポたんぱく質リパーゼの活性は食後に高くなる。
当然ながら、インスリンは食後に分泌されるので、「インスリンはリポたんぱく質リパーゼ活性を上昇させる」となる。
空腹時&満腹時の考え方は基礎栄養の範囲でも頻出なので必ず抑える必要がある。
〇⑵ リポたんぱく質リパーゼの異常では、高キロミクロン血症をきたす。
正しい。(1)の通り、リポたんぱく質リパーゼはキロミクロン中の脂肪を分解する働きがある。
何らかの理由で、リポたんぱく質リパーゼに異常が生じるとキロミクロン中の脂肪を分解できず、高キロミクロン血症をきたす。
⑶ 〔 糖原病 〕は、グルコース-6-ホスファターゼの欠損によって起こる。
グルコース-6-ホスファターゼはグルコース6リン酸からグルコースを合成する酵素である。
肝臓でのグリコーゲン→→→グルコース6リン酸→グルコースや、
糖新生でのピルビン酸→→→グルコース6リン酸→グルコースでの最後の行程に関与する。
この酵素が欠損すると、血糖を維持することが難しくなる糖原病を生じる。
家族性高コレステロール血症はLDL受容体などの変異により発症するが、国試の出題レベルでは少し難しい。
ただ、この問題は国試によく出題される「糖原病=グルコース-6-ホスファターゼの欠損」がわかっていれば
グルコース-6-ホスファターゼの欠損は家族性高コレステロール血症ではないとわかり選択肢を削れたと思う。
⑷ ネフローゼ症候群の診断基準では、脂質異常症が〔 参考条件 〕である。
38-30同様の出題である。
ネフローゼ症候群の診断基準での必須条件は
・尿たんぱく 3.5g/日以上が持続
・低アルブミン血症 3.0g/dL以下 の2項目である。
そのほかに参考条件として、
・浮腫
・脂質異常症(高LDLコレステロール血症) の2項目がある。
ネフローゼに関しての解説などは38-30を参照のこと。
⑸ 著明な〔 高トリグリセリド血症 〕では、急性膵炎を起こす。
中性脂肪1000mg/dLを超えると、急性膵炎を引き起こす可能性が非常に高くなる。
急性膵炎を引き起こすメカニズムはいくつかあるが、著明な高TG血症が必ず急性膵炎を起こすかは議論の余地があるためここでは割愛する。
この問題では少なくとも、高コレステロール血症から急性膵炎が生じないことがわかれば良い。
文責:アヒル