日本食品標準成分表2020年から「調理後」の栄養成分値などが、かなり充実しました。
その背景としては、「実際に口に入る状態の栄養価を見るべきだ」という考え方があります。
たとえばこれまで、腎疾患に関する調理アドバイスなどで
「野菜は茹でこぼすことでカリウムを減らすことができます。」と言われてきました。
しかし、そういう割には「実際にどれだけ減っているのか?」
また、「カリウムだけでなく水溶性ビタミンなども流出しているのではないか?」といった
内容が曖昧にされてきたものを、明確にしたものです。
※「生野菜で栄養価計算するとカリウムがすごいことになるけど水にさらしてるからセーフ」とか
「そうめんは乾麺で栄養価計算すると食塩相当量がとんでもないことになるけど、茹でているからセーフ」など
かなり雑に行われてきたものを是正するためでもあったりします。(こんなふうに教えられた経験ないですか?)
調理による栄養素量の変化の例として
・水にさらすことで流出する。
・茹でることで流出する。
・加熱によって壊れて損失する。 などがあります。
これらを考慮した栄養価計算が出題されています。
前置きが長くなりましたが、ここから解法について説明していきます。
【解法】
「生うどん150gを茹でて、茹でうどんにすると食塩相当量は何グラム?」という問題です。
上記のイラストのように
「茹でている間に食塩が抜けていく」はずなのでそこを考えます。
問題で与えられている表には生うどんと茹でうどん、それぞれ100gあたりの食塩相当量が書かれています。
では、生うどん150gを茹でると、茹でうどん何gが出来上がるでしょうか?
ここで考えて欲しいのは、茹でることで
「食塩は抜けていく」+「吸水する」ということです。
そうめんでもうどんでも、茹でれば水を吸って
重量としては重くなりますよね。では、どれくらい重くなるでしょうか?
そこで用いるのが、表の「重量変化率」です。表の重量変化率180%というのは
「生うどんを10倍量のお湯で茹でて
湯切りをした後の重量が180%(1.8倍)になっていた」というものです。
これをふまえて考えると、今回の問題は
生うどん150gを茹でると重量が1.8倍になる。
→茹で上がったうどんの重量は 150 × 1.8 = 270g
表より、茹でうどん100gあたりの食塩相当量は0.3gなので、
茹でうどん270g中の食塩相当量は、0.3 × 2.7 = 0.81 g
よって(4)0.8が正答になります。
文責:アヒル