⑴ 心室細動では、心拍出量が〔 ほとんどなくなる 〕。
心室細動は、心室が痙攣して無秩序に震えることでまともに収縮ができなくなり、
心拍出量はほぼゼロになる。
心室細動は放置すると心停止に至るので、迅速なAEDの使用が必要である。
〇⑵ 深部静脈血栓症では、急性肺塞栓を起こす。
正しい。深部静脈血栓症は、主に脚(下肢)の静脈で血栓が形成される疾患である。
この血栓が剥がれて血流に乗り、肺動脈を閉塞すると急性肺塞栓症を引き起こす。
特に、長時間の寝たきりや飛行機旅行(エコノミークラス症候群)がリスク因子となる。
下肢で生じた静脈血栓はそのまま心臓(右心房)まで戻ってくる。
下肢(末梢)から心臓(中心)までの血管は、どんどん太くなっていくのでここまでの道中で血栓はどこにも詰まらない。
しかしこのあと、血栓は右心房→右心室を経て、さらに肺へと流れていく。
肺動脈から肺胞の毛細血管までの道のり(血管)はどんどん細くなっていくので
血栓は道中、どこかで詰まってしまう。これが「肺塞栓症」である。
前触れなく急に血栓が剥がれて血流に乗るので「急性肺塞栓症」となる。
⑶ 〔 左心不全 〕では、肺うっ血がみられる。
肺うっ血は、左心不全の症状である。
右心不全では右心室がダメになるので、全身の血液が心臓に戻ってこれず、全身の静脈に血液がうっ滞する。
その結果、浮腫・腹水・肝腫大などがみられる。
⑷ 心不全では、血中BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)値が低下する。
BNPは、心室の負荷が増加すると分泌されるホルモンであり、心不全の診断などに用いられる。
血中BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)の「利尿」からわかるように、
利尿作用を示す。 心室に負荷がかかる(≒血圧が上がる≒循環血液量が多い)
と、血液量を減らす(≒血圧を下げる)ためにBNPをたくさん分泌し尿として体内から水分を排泄し血圧を下げようとする。
心不全では、BNP値が上昇する。37-30(5)に同様の選択肢が出題されている。
※ちなみに、名前には「脳性」と書かれているが分泌されるのは「心室」である。
⑸ 重度の貧血では、〔 高心拍出性心不全 〕がみられる。
重度の貧血では、血液の酸素運搬能が低下するので、そのままでは末梢組織は酸欠状態になる。
それを回避するために、心拍数や拍出量をガンガン上げ、ガンガン血液を循環させることで酸素を供給しようとする。
コレは「高心拍出性心不全」である。
低心拍出性心不全は、心筋のポンプ機能が低下することによって発症するものであり、
貧血が主な原因とはならない。
文責:アヒル