まず、問題文の機能性表示食品制度とは、食べ物と健康の範囲にも出題されるが
「国の定めるルールに基づき、事業者が食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要な事項を、販売前に消費者庁長官に届け出れば、機能性を表示することができる制度」である。
簡単にいうと「販売するときに表示したい機能性の根拠を事業者が論文などで示せばOK」となる。
このとき事業者と研究者が共謀して不正をはたらけばこの制度は成立しない。
そのような不正が生まれないように企業と研究者は研究倫理として規範を守り公平公正を保つ必要がある。
⑴ 研究計画書の研究倫理審査は、この食品会社の役員会議で行われる。
研究倫理審査(この研究に倫理的な問題がないか?を検討)は独立した研究倫理委員会が行わなければならない。
食品会社の役員会議では、倫理的な中立性や専門性が担保されないため不適切であり、
委託先の大学に設置されている研究倫理委員会(研究者からは独立している組織)などが適している。
〇⑵ 委託先の大学の研究者は、研究対象者に研究内容を説明し研究参加の同意を得る。
正しい。ヒトを対象とした研究では、研究対象者に対して十分な説明を行い、
研究内容の説明だけでなく、自由意思に基づきいつでもやめることができるなど
適切にインフォームド・コンセント(説明と同意)を得ることが必要である。
研究者はこのプロセスを適切に実施しなければならない。
⑶ 研究計画は、販売しようとする食品の利潤最大化を最優先に作成する。
研究の目的は、食品成分Aの機能性に関しての科学的な根拠を得ることである。
この選択肢のように、企業の利益を優先すことは研究の公正性を損なうため不適切である。
利潤を最大化を目的に研究計画を作成するのは「売れるためなら何をしてもいい。不正でさえも。」につながる。
⑷ この委託研究に従事しない食品会社の社員は、研究の利益相反を開示する。
利益相反の開示は、研究に直接関与する研究者や関係者が行うべきもので、研究に従事していない社員に開示義務はない。
利益相反(COI: Conflict of Interest)とは、研究者が個人的な利益(企業からの報酬など)を得ることによって、
研究の公正性や客観性に影響を及ぼす可能性がある状況を指す。
具体的には、研究者が「食品成分Aには血糖値を下げる機能がある」と発表したときに
研究者が食品成分Aを販売する企業から資金提供を受けていた場合、研究結果が公正であるかどうか疑問を持たれる可能性がある。
※「お金もらってるから都合のいいデータ出してるんじゃないの?」など。
そのため、研究者は、自身と企業などの関係を正しく開示し、研究の透明性を確保することが求められ
これにより研究の信頼性を維持し、公平な評価が行われるようになる。
⑸ 委託先の大学の研究者は、売り上げ状況のモニタリング調査を行う。
大学の研究者の役割は、食品成分 A の機能性に関して科学的に検証することである。
売り上げ状況のモニタリングは企業側が行う業務で、研究の目的からかけ離れておりする必要がない。
文責:アヒル