39-178, 179, 180 Kリハビリテーション病院に勤務する管理栄養士である。 患者は、67歳、女性。夫は他界しており、娘家族と同居。健診で、高血圧症を指摘されていた。 アテローム血栓性脳梗塞の発症後、急性期病院での治療を経て、 右片麻痺に対する運動機能リハビリテーションのために当院へ転院してきた。 軽度嚥下障害があるが、軟菜食と液体にはとろみを付けることで対応できている。 脳梗塞の発症前は、身長156cm、体重63kg、BMI25.9kg/m2。 食事は、娘が準備しており、間食に自分で買ってきたみたらし団子をよく食べていた。 転院時は、体重55kg、BMI22.6kg/m2。血圧120/62mmHg。 血清アルブミン値 3.2g/dL、eGFR 92mL/分/1.73m2。安静時エネルギー消費量1,100kcal/日。

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39-178, 179, 180 次の文を読み「178」、「179」、「180」に答えよ。

Kリハビリテーション病院に勤務する管理栄養士である。

患者は、67歳、女性。夫は他界しており、娘家族と同居。健診で、高血圧症を指摘されていた。

アテローム血栓性脳梗塞の発症後、急性期病院での治療を経て、

右片麻痺に対する運動機能リハビリテーションのために当院へ転院してきた。

軽度嚥下障害があるが、軟菜食と液体にはとろみを付けることで対応できている。

脳梗塞の発症前は、身長156cm、体重63kgBMI25.9kg/m2

食事は、娘が準備しており、間食に自分で買ってきたみたらし団子をよく食べていた。

転院時は、体重55kgBMI22.6kg/m2。血圧120/62mmHg

血清アルブミン値 3.2g/dLeGFR 92mL//1.73m2。安静時エネルギー消費量1,100kcal/日。

 

39-178 栄養管理計画の作成に当たり、医師等と連携して、この患者の1日当たりの栄養補給量を検討した。

その組合せとして、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

      エネルギー              たんぱく質

       (kcal/日)              (g/)

⑴ 1,200                      60

⑵ 1,200                      80

⑶ 1,700                      60

⑷ 1,700                      80

 

39-179 リハビリを開始して1週間が経過すると、運動はできているが食欲が低下し、約700 kcal/日しか摂取できなくなった。

リハビリは継続する予定であるが、食欲回復には2週間以上要することを想定して、

新たに栄養管理計画を作成することにした。不足分を補うための栄養投与法として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

⑴ 経口栄養補助食品

⑵ 経鼻胃管栄養法

⑶ 末梢静脈栄養法

⑷ 中心静脈栄養法

 

39-180 その後、食欲は徐々に回復し、リハビリも順調に進んだ。

1か月後、外来通院できることが確認できたため退院となり、退院後の食事内容について栄養食事指導を行うことになった。

入院中は、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の嚥下調整食分類2021のコード4(嚥下調整食4)の基準に合わせて、

食事を提供していた。患者と家族に示す献立(料理)例として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

⑴ 全粥ペーストのゼリー、湯豆腐、かぼちゃの煮物、かぶの味噌汁(とろみ付き)、プリン

⑵ 全粥、かれい煮魚、鶏団子と里芋・人参の煮物、ふろふき大根の銀あんかけ、バナナ

⑶ フレンチトースト、ひき肉入りオムレツ、コーンとキャベツのマヨネーズサラダ、みかん入りヨーグルト

⑷ 軟飯、蒸し鶏の甘酢あんかけ、きゅうりと春雨の酢の物、豆腐とわかめの味噌汁、みたらし団子

 

厚生労働省. 『第39回管理栄養士国家試験の問題(午後の部)』(2025) .

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428961.pdf, (2025年8月17日閲覧)

解答・解説を見る

 

39-178 栄養管理計画の作成に当たり、医師等と連携して、この患者の1日当たりの栄養補給量を検討した。

その組合せとして、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

 

いつもの通りの計算(基本の形, 動画参照)で解くことができる。

問題文には「転院時は、体重55kgBMI22.6kg/m2。」とあるので

標準体重を55kgとして考えると、55kg × 30kcal/kg = 1650 kcalとなり、(3), (4)の1700kcalが妥当となる。

※55kgで1200kcalだと22kcal/kgとなり、明らかに少なすぎるので誤りである。

 

また、対象者は67歳なので、日本人の食事摂取基準(2020年版)を基にすると

たんぱく質エネルギー比(PFC比のP比)は、15~20%Eを目指すことになる。

1700kcal15~20%Eなので、1700 × (0.15 〜 0.2) = 255 〜 340 kcal 

たんぱく質1gあたり4kcalなので、255 〜 340 kcal → 63.75 〜 85 g

よって(4)の80gが妥当となる。

⑷ 1,700                      80

 

 

 

39-179 リハビリを開始して1週間が経過すると、運動はできているが食欲が低下し、約700 kcal/日しか摂取できなくなった。

リハビリは継続する予定であるが、食欲回復には2週間以上要することを想定して、

新たに栄養管理計画を作成することにした。不足分を補うための栄養投与法として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

 

まず、第一に、食欲が低下していることから、(1)の経口摂取は適していない
※提供しても食べ(られ)ない。

次に、問題文より「食欲回復には2週間以上要することを想定」とあるので

1週間程度を想定する、(3)の末梢静脈栄養法も適していない。

残るは(2)と(4)になるが、この患者は「食欲低下による摂取量の低下」が問題であるので

消化管機能は正常であると考えられ、積極的に消化管を利用する

(2) 経鼻胃管栄養法正しい選択肢となる。

※出題者目線のメタい話をすると、
「使えるなら消化管を積極的に利用する」という前提がある以上
(3)や(4)を正答にする場合、
問題文中に明確に“消化管の不良”を書くはずである。

 

 

 

 

39-180 その後、食欲は徐々に回復し、リハビリも順調に進んだ。

1か月後、外来通院できることが確認できたため退院となり、退院後の食事内容について栄養食事指導を行うことになった。

入院中は、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の嚥下調整食分類2021のコード4(嚥下調整食4)の基準に合わせて、

食事を提供していた。患者と家族に示す献立(料理)例として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

 

勉強する際は、嚥下調整食分類2021 (←PDFリンク)を参照にしてほしい。

上記分類のコードは大きく分けて、コード0 〜 コード4まであり、

大雑把にいうと、数字が小さくなるほど嚥下が難しい人向けとなる。

 

⑴ 全粥ペーストのゼリー、湯豆腐、かぼちゃの煮物、かぶの味噌汁(とろみ付き)、プリン

全粥ペーストのゼリーコード2-1に相当するので適していない。

上記の「数字が小さくなるほど嚥下が難しい人向け」だけでも覚えていれば

“コード4で全粥ペーストのゼリーなら、1,2,3はどうなるんだ・・・”と考えれば選択肢を削れると思う。

※同じような考え方で、近いうちに“コード1を選ぶ問題で「軟飯」が登場する誤肢”が登場するかもしれない。

 

⑵ 全粥、かれい煮魚、鶏団子と里芋・人参の煮物、ふろふき大根の銀あんかけ、バナナ

正しい。コード4の例として挙げられている全粥おかずも箸で切れる軟らかさのものとなっている。

 

⑶ フレンチトースト、ひき肉入りオムレツ、コーンとキャベツのマヨネーズサラダ、みかん入りヨーグルト

ひき肉、コーンなど、口腔内でバラバラになり、咀嚼や嚥下に向いていない

コード3やコード4の細かな違いがわかっていなくても、

ひき肉とコーンだけで「咀嚼・嚥下に配慮した食事ではない」と切ることができる選択肢である。

 

⑷ 軟飯、蒸し鶏の甘酢あんかけ、きゅうりと春雨の酢の物、豆腐とわかめの味噌汁、みたらし団子

蒸し鶏、きゅうり、わかめ、団子 は噛みきれない。また、わかめは口腔内に付着するのでやはり適していない。

甘酢や酢の物などの酸味は「むせ」を起こしやすく、誤嚥のリスクが高まる

さらに味噌汁にもとろみが必要なので、軟飯以外、全方位適していないメニューとなる。

 

文責:アヒル


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