39-176, 177 Kクリニックに勤務する管理栄養士である。 患者は、55歳、閉経後の女性。事務職。5年前に2型糖尿病を発症し、経口血糖降薬を処方されている。糖尿病の合併症はない。 身長155cm、体重56kg、BMI23.3kg/m2。標準体重53kg。 血圧128/85mmHg。空腹時の血液検査値は、血糖140mg/dL、HbA1c7.2%、 総コレステロール198mg/dL、LDLコレステロール116mg/dL、 HDLコレステロール48mg/dL、トリグリセリド185mg/dL、尿酸5.8mg/dL、 AST 15U/L、ALT 16U/L、γGT 19U/L、クレアチニン0.59mg/dL。 医師から、エネルギー1,600kcal/日を指示されている。

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39-176, 177 次の文を読み「176」、「177」に答えよ。

Kクリニックに勤務する管理栄養士である。

患者は、55歳、閉経後の女性。事務職。5年前に2型糖尿病を発症し、経口血糖降薬を処方されている。糖尿病の合併症はない。

身長155cm、体重56kgBMI23.3kg/m2。標準体重53kg。血圧128/85mmHg。空腹時の血液検査値は、血糖140mg/dLHbA1c7.2%、

総コレステロール198mg/dLLDLコレステロール116mg/dL、HDLコレステロール48mg/dL、トリグリセリド185mg/dL、尿酸5.8mg/dL

AST 15U/L、ALT 16U/L、γGT 19U/L、クレアチニン0.59mg/dL

医師から、エネルギー1,600kcal/日を指示されている。

 

39-176 薬物療法により患者の病態は安定しているが、食事に不安があるとのことで、3か月ぶりに栄養食事指導を行うこととなった。患者から普段の食事内容を聞き取った(表1)。患者の優先すべき栄養上の問題として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

⑴ たんぱく質の摂取量が少ない。

⑵ 脂肪の摂取量が多い。

⑶ 炭水化物の摂取量が多い。

⑷ 食塩の摂取量が多い。

 

39-177 さらに3か月後に栄養食事指導を行った。体重57kg

空腹時の血液検査値は、血糖138mg/dL、HbA1c 7.4%、LDLコレステロール109mg/dLHDLコレステロール

40mg/dL、トリグリセリド225mg/dL、尿酸6.5mg/dL。表2は、本人が持参した食事メモである。

患者への助言として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

 

⑴ 今の食事を続けましょう。

⑵ 主食は、今の半分量にしましょう。

⑶ 果物は、11回にしましょう。

⑷ 牛乳・乳製品は、11回にしましょう。

 

 

厚生労働省. 『第39回管理栄養士国家試験の問題(午後の部)』(2025) .

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428961.pdf, (2025年8月17日閲覧)

解答・解説を見る

 

39-176 薬物療法により患者の病態は安定しているが、食事に不安があるとのことで、3か月ぶりに栄養食事指導を行うこととなった。

患者から普段の食事内容を聞き取った(表1)。患者の優先すべき栄養上の問題として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

 

この問題は栄養価計算をしたり、

糖尿病の食品交換表などを駆使して患者の問題点を考えるものであるが

実は上記のデータが頭に入っていなくとも下記の考え方で消去法できる問題である。

 

⑴ たんぱく質の摂取量が少ない。

食品交換表で考えると、表3に当てはまるのは、たらこ・鮭・豆腐の3種類しかなく

これらが全て1単位だったとしても、かなり不足しているように見える。

ただし、この問題では交換表を使えという指定や、表3の過不足を問う問題ではないので

表4の牛乳・乳製品もたんぱく質源と考えることもでき、

そうなるとたんぱく質は少し不足しているくらいと考えられ

患者の優先すべき栄養上の問題という目線で行くと、〇寄りの△くらいと考えられる。

よって、その他の選択肢次第でこの選択肢を選ぶか再度考える必要がある。

 

⑵ 脂肪の摂取量が多い。

バター x2回、ドレッシング、マヨネーズなど脂肪摂取が多いように見えるが

肉類の摂取や揚げ物の摂取があるわけではないので、積極的に問題点として取り上げづらい。

交換表に当てはめると僅かに過剰。よって〇寄りの△くらいと考えられる。
ゆえにこの選択肢も他の選択肢を精査することになる。
ただし、国試でこの選択肢が正答になるならメインは揚げ物が登場したりするはずで
(1)との兼ね合いも考えると(1)と(2)のどちらも甲乙つけ難いので両方バツでは?と考えられる。

 

⑶ 炭水化物の摂取量が多い。

朝食 : 6枚切り食パン2枚(多い)+果物、昼食 : たらこパスタ(ほぼ炭水化物のみ)+果物

間食 : パン2個、夜食 : ご飯200g(多い)ポテサラ(炭水化物のかたまり)

といったように毎食、「これでもか!!」と炭水化物が登場している。

トースト2枚ご飯200gなど明らかに通常量よりも多いことがわかるので

この時点で(3)を選んでも良い。
※トースト1枚、ご飯130〜150gが国試に出る一般的な量

 

ちなみに交換表に当てはめると15~16単位程度摂取しており
炭水化物だけで1200〜1280kcalと大幅に超えており、
深刻な問題として優先的に取り上げる必要がある

 

⑷ 食塩の摂取量が多い。

(1)や(2)と同様、食塩も僅かに過剰〜普通の量であり、優先すべき栄養上の問題と断定することができない。

 

この問題は(3)が明らかに過剰すぎるため、(1)(2)(4)は〇寄りの△として保留するしかない。

 

この手の問題は、事細かくグラム表示(ご飯と果物だけグラム表記ありetc…)があるものや、通常量を逸脱していたり
毎食これでもかと登場していたら、その食品関係の栄養素摂取量が多すぎると判断してもよい。
逆に、「3食の中で1回しか野菜が登場しない」などであれば野菜不足と判断できたりする。

 


39-177 さらに3か月後に栄養食事指導を行った。体重57kg

空腹時の血液検査値は、血糖138mg/dL、HbA1c 7.4%、LDLコレステロール109mg/dLHDLコレステロール

40mg/dL、トリグリセリド225mg/dL、尿酸6.5mg/dL。表2は、本人が持参した食事メモである。

患者への助言として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

 

⑴ 今の食事を続けましょう。

少なくとも血糖値、HbA1cが基準値を超えているので、

今の食事だけでは良くない。改善が必要なため誤りとわかる。

(加えてTGも超えている)

 

⑵ 主食は、今の半分量にしましょう。

前回の面談時と比べ、トーストは8枚切りを2枚、ご飯150gなど減らせている

この状態でさらに半分までに減らす必要はないと考えられる。

※ご飯75gは流石に減らしすぎになる

 

⑶ 果物は、11回にしましょう。

指示エネルギーにかかわらず交換表表2(果物)は1単位が設定されている。

 

患者の食事メモを見ると、毎食1単位ずつ摂取していると推測される。

よって設定1単位のところ約3単位摂取しているので多すぎる

 

⑷ 牛乳・乳製品は、11回にしましょう。

(3)と同様に表4(牛乳)も「指示エネルギーによらず1.5単位」とざっくり覚えておけば良い。

その上で食事メモを見ると

牛乳60mL × 2回 → 1単位

ヨーグルト → 0.5単位 となり、適量摂取していることになり問題ではない。

牛乳 1/2本 (約100 mL, 厳密には120mL)で1単位は覚えておきたい
そして牛乳の半分の量のヨーグルトが2単位も3単位もあるわけがないので
どれだけ多くても牛乳とヨーグルトで2単位。
そうなると少し超えているが、最も問題なのは(3)の果物過剰の方になるので
やはり(3)が解答となる。

 

表2(果物)と表4(牛乳・乳製品)は固定値なので、

1単位および1.5単位として覚えておくと解きやすくなる。

また、

・みかん2個 or りんご半分で1単位、

・牛乳1本で約2単位  など覚えやすいものを覚えておき

それと比較すると他の食材が出ても考えやすい。

国試ではこれくらいの記憶だけである程度は対抗できるので

まずはここから覚えるべきである。

 

 

この2問は本来であれば交換表を暗記する王道で解く必要があるが
国試を解くためのテクニックや消去法、出題者の「正解をひとつにするための条件出し」を逆手に取れば
交換表がわからなくても解くことができる。
テクニックに頼り切るのは危険だが、かといって、
国試を解くだけであれば交換表を丸暗記する必要はない。

文責:アヒル


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