臨床栄養学の問題として出題されていますが、
問われている内容自体は応用栄養学の問題と同様です。
「動的栄養アセスメント指標はどれか?」や
「静的栄養アセスメント指標はどれか?」と問われれば答えられる人も多いと思います。
この問題は「栄養管理を開始し、 1 週間後に栄養状態を評価した」とあるので
まず大前提として【動的栄養アセスメント指標はどれか?】が問われています。
その上で、「栄養状態の改善」が見られる項目を考えると簡単に解けると思います。
選択肢を順番に見ていきましょう。
⑴ 上腕三頭筋皮下脂肪厚の増加
→静的栄養アセスメント指標です。
確かに栄養状態の改善が見られれば「上腕三頭筋皮下脂肪厚」は増加しますが
さすがに1週間では変化しません。
※自分自身の体で想像してみれば、
「1週間程度で二の腕の脂肪が増えたり減ったりするわけない!」とすぐにわかると思います。
⑵ 上腕筋囲の増加
→静的栄養アセスメント指標です。
(1)と同様に、栄養状態の改善が見られれば、筋量が増加し「上腕筋囲」は増加しますが
1週間では変化しません。
※これも自分自身の体で想像してみれば、
「1週間程度で筋肉なんて増えねぇ!」とすぐにわかると思います。
⑶ 血清アルブミン値の上昇
→静的栄養アセスメント指標です。
アセスメント指標関連の問題で頻出の検査項目ですが、
血清アルブミン値の半減期は2〜3週間程度と長く、「静的栄養アセスメント指標」として扱われます。
〇⑷ 血清トランスサイレチン値の上昇
→正しい選択肢です。血清トランスサイレチン値は「動的栄養アセスメント指標」に分類されます。
血清トランスサイレチン値は、半減期が2〜3日と短く、
栄養状態が上向けば、1週間で十分に測定値として反映されるので正答となります。
※解説最後の関連問題(38-74)の解説もご覧ください。
⑸ 血中CRP値の上昇
→血中のCRP値は「動的栄養アセスメント指標」ですが、
この値が反映するのは「栄養状態」ではなく、「炎症反応」や「組織の障害(破壊)」などです。
したがって、「誤り」となります。
というわけで、全て見てみると
「動的栄養アセスメント指標はどれか?」または
「静的栄養アセスメント指標はどれか?」を区別できるだけで
(4)と(5)の2択にでき、
・トランスサイレチン=栄養状態
・CRP=炎症と、わかれば解ける問題でした。
動的栄養アセスメント指標(RTPなど)については、
下記の問題で解説しているので併せてご覧ください。
38-74 たんぱく質・アミノ酸の代謝に関する記述である。
38-82 栄養アセスメントに関する記述である。
文責:アヒル