38-114 経鼻胃管にて、1.0 kcal/mL の半消化態栄養剤(常温)を 100 mL/時で 200 mL 投与したところ、下痢が生じた。その対策に関する記述である。

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38-114 経鼻胃管にて、1.0 kcal/mL の半消化態栄養剤(常温)を 100 mL/時で 200 mL 投与したところ、下痢が生じた。

その対策に関する記述である。  最も適当なのはどれか。 1つ選べ。

 

    1 時間で 200 mL を投与する。

    脂肪含有量の多い経腸栄養剤に変更する。

    2.0 kcal/mL の経腸栄養剤に変更する。

    20 mL/時で投与する。

⑸  4 ℃ にして投与する。

 

厚生労働省. 『第38回管理栄養士国家試験の問題(午後の部)』(2024) .

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001218344.pdf, (2024年10月11日閲覧)

 

解答・解説を見る

 

経腸栄養剤による下痢の原因は、主に下記が挙げられます。

理由も併記しておきます。

 

浸透圧が高い(濃度が濃い)

 →非常に濃いものが腸管内に流れ込むと、腸内浸透圧が高くなり下痢を生じます。

投与速度が速い

 →①のように濃度が高くなくても、一気に大量に流れ込むと、

   やはり腸内浸透圧が高くなり下痢を生じます。

①と②は「早期ダンピング症候群と同じイメージ」で思ってもらえるとわかりやすいと思います。

 

脂質が多い

 →脂質の割合が多いと、単純に「消化不良」となり下痢を生じます。

温度が低い

 →「冷たいものの摂りすぎでお腹を壊す」のと同じですが、より丁寧に説明すると、

  栄養剤が冷たすぎる場合、消化酵素がうまく働かず「消化不良」となり下痢を生じます。

  消化酵素の至適温度(最適温度)は体温(約37°C)ほどなので冷たすぎる場合、酵素がうまく働きません。

⑤調製後、時間が経ちすぎている

→経時的な変化で変質したり、腐敗している可能性があります。それを投与すると・・・?

 

以上を踏まえて選択肢を見てみると、

 

1 時間で 200 mL を投与する。

現在、1時間で100mLを投与していて下痢を生じているので、

それよりも早く投与すると悪化する可能性こそあれど、改善はしません。

 

脂肪含有量の多い経腸栄養剤に変更する。

脂肪含有量が多くなると消化不良をきたし、下痢が悪化する可能性があり不適です。

脂肪含有の少ない経腸栄養剤に変更する方が改善の可能性があります。

 

2.0 kcal/mL の経腸栄養剤に変更する。

現在、1.0 kcal/mL の経腸栄養剤で下痢を生じているので

2倍濃度の経腸栄養剤を使用すると、現在よりも下痢が悪化することが想定されます。

 

20 mL/時で投与する。

正しい選択肢です。

現在、1時間で100mLを投与していて下痢を生じているので、

1時間で20mLと、ゆっくり投与することで改善できる可能性があります。

 

4 ℃ にして投与する。

現在、経腸栄養剤を常温で提供し下痢が生じているため

さらに冷やした4°Cのものを用いるとさらに下痢が悪化する可能性があります。

体温程度まで加温したものを投与すると改善できる可能性があります。

 

文責:アヒル


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