39-198, 199, 200 K県健康増進課の管理栄養士である。K県では、全国に比べて、男女ともに脳血管疾患と虚血性心疾患の年齢調整死亡率が高い。また、K県では、全国に比べて、男女ともに 20歳以上の野菜摂取量の年齢調整平均値が低く、食塩摂取量の年齢調整平均値が高い。

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39-198, 199, 200 次の文を読み「198」、「199」、「200」に答えよ。

K県健康増進課の管理栄養士である。K県では、全国に比べて、男女ともに脳血管疾患と虚血性心疾患の年齢調整死亡率が高い。

また、K県では、全国に比べて、男女ともに 20歳以上の野菜摂取量の年齢調整平均値が低く、食塩摂取量の年齢調整平均値が高い。

 

39-198 K県における高血圧症、脂質異常症、糖尿病の20歳以上の有病者数を推計するためのデータとして、最も適当なのはどれか。1つ選べ。

⑴ 人口動態調査による死亡の原因

⑵ 患者調査による入院・外来の推計患者数

⑶ 国民健康・栄養調査に準じる方法で行った県民健康・栄養調査の身体状況調査結果

⑷ 国民生活基礎調査(大規模調査年)における傷病による通院の状況

⑸ レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)の特定健康診査データ

 

39-199 県内のA大学は、県の協力のもと、20歳以上の県民を対象に前向きコホート研究を実施してきた。

食塩および野菜の摂取量に関して、高血圧症、脂質異常症、糖尿病の罹患の相対危険を算出したところ、表の結果を得た。

統計学的な有意水準は両側5%とする。この解釈として、最も適当なのはどれか。1つ選べ。

 

⑴ 食塩摂取量は、7g/日より多い群に比べて、7g/日以下の群で、高血圧症罹患の相対危険が有意に低い。

⑵ 食塩摂取量は、7g/日より多い群に比べて、7g/日以下の群で、脂質異常症罹患の相対危険が有意に低い。

⑶ 食塩摂取量は、7g/日より多い群に比べて、7g/日以下の群で、糖尿病罹患の相対危険が有意に低い。

⑷ 野菜摂取量は、350g/日未満の群に比べて、350g/日以上の群で、脂質異常症罹患の相対危険が有意に低い。

⑸ 野菜摂取量は、350g/日未満の群に比べて、350g/日以上の群で、糖尿病罹患の相対危険が有意に低い。

 

 

39-200 設問199の表の結果を踏まえ、K県民の食事改善に向けたポピュレーションアプローチを実施することになった。

具体的内容として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

⑴ K県内のスーパーマーケット、コンビニエンスストア、外食店に協力してもらい、野菜の多い料理を販売・提供してもらう。

⑵ A大学の学生を対象とし、減塩のための標語コンテストを実施し、入選作品を広報に掲載する。

⑶ K県の県立病院の受診者を対象に、野菜摂取量増加と減塩の重要性が書かれたチラシを配布する。

⑷ 多くのK県民が利用する駅構内とバス停に、野菜摂取量増加と減塩の重要性に関するポスターを掲示する。

 

 

厚生労働省. 『第39回管理栄養士国家試験の問題(午後の部)』(2025) .

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428961.pdf, (2025年8月17日閲覧)

解答・解説を見る

 

39-198 K県における高血圧症、脂質異常症、糖尿病の20歳以上の有病者数を推計するためのデータとして、最も適当なのはどれか。1つ選べ。

⑴ 人口動態調査による死亡の原因

人口動態統計の項目(出生死亡婚姻離婚死産)を見ても

有病者数はわからないため誤りである。

 

⑵ 患者調査による入院・外来の推計患者数

患者調査を用いると、入院している患者 and/or 通院している患者数はわかる

医療機関に受診していない患者数は推計できないため、最も適当なものにはならない

ゆえに誤り

 

⑶ 国民健康・栄養調査に準じる方法で行った県民健康・栄養調査の身体状況調査結果

正しい。国民健康・栄養調査に準じる方法での身体状況調査では

身長、体重、腹囲、血圧測定、血液検査をおこなうので、

その結果から高血圧症、脂質異常症、糖尿病の全患者数を推計することができる

よって、上記に準じた方法で行った県民健康・栄養調査の身体状況調査を用いれば

推計することができる。

 

⑷ 国民生活基礎調査(大規模調査年)における傷病による通院の状況

この統計では、傷病による通院の状況を自己申告で調査する

自己申告である以上、そこから有病者数を推計することは難しい

 

⑸ レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)の特定健康診査データ

39-194同様、特定健康診査のデータを対象にすると、40歳〜74歳しか対象にできないので

それ以外の年齢層を推計することはできない

 

 

 

 

 


39-199 県内のA大学は、県の協力のもと、20歳以上の県民を対象に前向きコホート研究を実施してきた。食塩および野菜の摂取量に関して、高血圧症、脂質異常症、糖尿病の罹患の相対危険を算出したところ、表の結果を得た。統計学的な有意水準は両側5%とする。この解釈として、最も適当なのはどれか。1つ選べ。

 

相対危険の考え方は

相対危険がピッタリ1だと、対象群と発症リスクは同じ

相対危険1未満だと、対象群よりも発症リスクが低い

相対危険1以上だと、対象群よりも発症リスクが高い

となる。

 

また、問題文より、

統計学的な有意水準は両側5%とする。」とあるので

95%信頼区間から有意差(味の)があるか検討することになる。

 

95%信頼区間とは「100回同じ調査をしたら95回はその範囲、区間に収まる」というもので

100回中95回で、相対危険が1未満であれば「“有意に”対象群よりも発症リスクが低い

100回中95回で、相対危険が1以上であれば「“有意に”対象群よりも発症リスクが高い

と判定できる。

 

さらに

100回中95回で相対危険が1以上だったり1未満だったりする(0.5〜1.5のように、1をまたぐ)場合

有意な差は無い」となる。

 

考え方として

①相対危険が1よりも大きい or 小さい

②95%信頼区間は1を跨いでいないか?(1以下の範囲内 or 1以上の範囲内)

を見て、どちらも満たす場合、「相対危険が有意に低い(or 高い)」とみなせる。

 

⑴ 食塩摂取量は、7g/日より多い群に比べて、7g/日以下の群で、高血圧症罹患の相対危険が有意に低い。

正しい。高血圧症の段の食塩摂取量≦7g/日を見ると、

高血圧症の相対危険は0.68と1よりも低い値になっている。

かつ、95%信頼区間は「0.55〜0.85」と、1より低い範囲で収まっているため

高血圧症罹患の相対危険が有意に低いと判定できる。

 

⑵ 食塩摂取量は、7g/日より多い群に比べて、7g/日以下の群で、脂質異常症罹患の相対危険が有意に低い。

脂質異常症の段の食塩摂取量≦7g/日を見ると、

脂質異常症の相対危険は0.98と1よりも低い値になっている。

しかし、95%信頼区間は「0.62〜1.56」と、1をまたいでいるため

食塩摂取量7g/日以下の群は、7g/日より多い群と比べても、

脂質異常症罹患の相対危険に、有意な差は無いと判定できる。

 

⑶ 食塩摂取量は、7g/日より多い群に比べて、7g/日以下の群で、糖尿病罹患の相対危険が有意に低い。

糖尿病の段の食塩摂取量≦7g/日を見ると、

糖尿病の相対危険は0.89と1よりも低い値になっている。

しかし、95%信頼区間は「0.55〜1.44」と、1をまたいでいるため

食塩摂取量7g/日以下の群は、7g/日より多い群と比べても、

糖尿病罹患の相対危険に、有意な差は無いと判定できる。

 

⑷ 野菜摂取量は、350g/日未満の群に比べて、350g/日以上の群で、脂質異常症罹患の相対危険が有意に低い。

脂質異常症の段の野菜摂取量≧350g/日を見ると、

脂質異常症の相対危険は0.92と1よりも低い値になっている。

しかし、95%信頼区間は「0.62〜1.38」と、1をまたいでいるため

野菜摂取量350g/日以上の群は、350g/日より少ない群と比べても、

脂質異常症罹患の相対危険に、有意な差は無いと判定できる。

 

⑸ 野菜摂取量は、350g/日未満の群に比べて、350g/日以上の群で、糖尿病罹患の相対危険が有意に低い。

糖尿病の段の野菜摂取量≧350g/日を見ると、

糖尿病の相対危険は0.69と1よりも低い値になっている。

しかし、95%信頼区間は「0.46〜1.04」と、1をまたいでいるため

野菜摂取量350g/日以上の群は、350g/日より少ない群と比べても、

糖尿病罹患の相対危険に、有意な差は無いと判定できる。

 

 

 

 


39-200 設問199の表の結果を踏まえ、K県民の食事改善に向けたポピュレーションアプローチを実施することになった。

具体的内容として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

 

ポピュレーションアプローチとは、人口全体に対して、全体の健康改善・向上を目指す方法である。

一方で集団の中のハイリスク群だけにアプローチするハイリスクアプローチがある。

 

⑴ K県内のスーパーマーケット、コンビニエンスストア、外食店に協力してもらい、野菜の多い料理を販売・提供してもらう。

これらの店舗は、利用者は多いと考えられるが、「野菜の多い料理を販売・提供してもらう」だけでは

K県民の食事改善に向けたポピュレーションアプローチになり得ない

 

⑵ A大学の学生を対象とし、減塩のための標語コンテストを実施し、入選作品を広報に掲載する。

「広報に掲載する」時点で、目にする人が極端に限られるためポピュレーションアプローチになり得ない

 

⑶ K県の県立病院の受診者を対象に、野菜摂取量増加と減塩の重要性が書かれたチラシを配布する。

「K県の県立病院の受診者を対象」する時点で、通院者しか対象とならず、ポピュレーションアプローチになり得ない

通院者を対象にしている時点で、ハイリスクアプローチとなる。

 

⑷ 多くのK県民が利用する駅構内とバス停に、野菜摂取量増加と減塩の重要性に関するポスターを掲示する。

多くのK県民が利用する駅構内とバス停」で情報発信をすることで、

他の選択肢よりは多くの人の目につき、ポピュレーションアプローチとして最も適している

 

文責:アヒル


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