39-190, 191, 192 K社の社員寮に勤務する管理栄養士である。毎年120人程度の新入社員が、1年間、この寮を利用している。調理従事者は5人で、シフト勤務している。3月4日、16時頃までに、30人の新入社員が、腹痛、下痢、嘔吐の症状を訴えた。16時30分に、施設長の判断により、食中毒の可能性があると保健所に通報した。

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39-190, 191, 192 次の文を読み「190」、「191」、「192」に答えよ。

K社の社員寮に勤務する管理栄養士である。毎年120人程度の新入社員が、1年間、この寮を利用している。調理従事者は5人で、シフト勤務している。34日、16時頃までに、30人の新入社員が、腹痛、下痢、嘔吐の症状を訴えた。1630分に、施設長の判断により、食中毒の可能性があると保健所に通報した。

 

39-190 通報後、1730分に保健所の職員が寮に到着した。新入社員への夕食の調理は完了していた。

この時点で5人の調理従事者の体調に問題はなかった。

症状のない新入社員に対する夕食の対応について、保健所の職員に相談した管理栄養士の発言である。

最も適切なのはどれか。1つ選べ。

⑴ 予定どおり、夕食を提供しても良いですか。

⑵ 食品保管庫に備蓄している災害用の食品を、提供しても良いですか。

⑶ 提携している弁当屋に弁当を注文して、夕食を提供しても良いですか。

⑷ 新入社員の皆さんに、飲食店で夕食を摂ってもらっても良いですか。

 

39-191 3月5日の昼、腹痛と下痢を発症した者は、新入社員60人、調理従事者4人に増えた。その頃、保健所から、有症者の便と33日夕食のちらし寿司の保存食から、ノロウイルスが検出されたと報告があった。

図は、ちらし寿司の作業工程に、保健所の職員が作業時の手洗い、中心温度測定、手袋着用の有無を聞き取り、追記したものである。ちらし寿司の材料は、米飯、ちらし寿司の素(しいたけ甘煮・酢れんこん・人参)、卵、さやえんどう、えびである。

ノロウイルスの汚染が疑われる作業工程として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

⑴ a

⑵ b

⑶ c

⑷ d

 

39-192 今回の件を踏まえ、調理従事者に衛生教育を実施することになった。

重点的に行う内容として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

⑴ 食材料の検収・保管に関すること。

⑵ 加熱調理食品の加熱温度管理に関すること。

⑶ 手洗い及び手袋着用に関すること。

⑷ 調理機器および調理器具の洗浄・殺菌に関すること。

 

 

厚生労働省. 『第39回管理栄養士国家試験の問題(午後の部)』(2025) .

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428961.pdf, (2025年8月17日閲覧)

解答・解説を見る

 

39-190 通報後、1730分に保健所の職員が寮に到着した。新入社員への夕食の調理は完了していた。

この時点で5人の調理従事者の体調に問題はなかった。症状のない新入社員に対する夕食の対応について、保健所の職員に相談した管理栄養士の発言である。

最も適切なのはどれか。1つ選べ。

 

問題文から、この時点ですでに保健所に通報済みで、保健所の指示があるまでは給食を中止する必要がある。

ぼ確実に調理従事者の中に病原体に感染している者がいるため調理作業や提供作業をするべきではないからである。

ゆえに、(1)はあり得ない選択肢となり、(2)も提供準備の際に感染が拡大する可能性があるため避けるべきである。

よって⑴⑵ となる。

 

また、夕食までに発症はしていないがこの後発症する感染者も社員の中には居る可能性が高いので、

感染濃厚な社員に外部の飲食店を利用させるのは、市中に感染が広がる可能性があり、かなり危険である。

ゆえに、⑷となる。

 

⑶ 提携している弁当屋に弁当を注文して、夕食を提供しても良いですか。

残るはこの選択肢のみで

感染者(感染が濃厚な社員)を封じ込め調理従事者からの接触を隔離するという観点から

正しい解答となる。

 

ただし、提携しているとはいえ、
弁当屋が17:30の段階で約100人分の夕食の弁当を提供できるのか?について
非常に疑義が残る。消去法で正答を選ぶのであればこの選択肢しかないが
出題者(作問者)としてのセンスは低いと言わざるをえない。
犬を飼っているかわからないのに、犬の散歩を勧めさせる問題とこの問題はセンスがない。
解けなくても仕方ない。

 

 

 


39-191 3月5日の昼、腹痛と下痢を発症した者は、新入社員60人、調理従事者4人に増えた。その頃、保健所から、有症者の便と33日夕食のちらし寿司の保存食から、ノロウイルスが検出されたと報告があった。

図は、ちらし寿司の作業工程に、保健所の職員が作業時の手洗い、中心温度測定、手袋着用の有無を聞き取り、追記したものである。ちらし寿司の材料は、米飯、ちらし寿司の素(しいたけ甘煮・酢れんこん・人参)、卵、さやえんどう、えびである。

ノロウイルスの汚染が疑われる作業工程として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

 

作業工程表を見る上で、最終加熱をしているか?を第一に見るべきである。

第二に、最終加熱後の食品を触る際には手袋をしているか?などを確認し

病原体が付着しないような工夫がされているか見る必要がある。

 

(1)のaは、ナマモノのエビを加熱する前に手洗いをしている。

これは生のエビに触れた手が病原体に汚染されている可能性があるため

この時点で手をあるのは手順として正しい

 

(3)のcは、最終加熱後のご飯ちらし寿司の素を混ぜる工程で、

この後さらなる加熱はしないことから

手袋を着用し病原体の付着を避ける必要があるため、手袋の着用は適切である。

 

(4)のdは、(3)と同様にその後にさらなる加熱をしない盛り付け作業であるため、手袋の着用は適切である。

 

(2)のbは、薄焼き卵を切る前に手洗いをしているが、

手洗いとアルコール消毒だけでは、今回のようなノロウイルスの対策にはならないため

最終加熱後の薄焼き卵に触れる場合は、直接触れないように手袋をするのが正しい手順となる。

よって、ノロウイルスの汚染が疑われる作業工程として、最も適切なのはこの選択肢となる。

 

3月2日実施の国家試験の問題で、
翌日、現実で提供されるであろう
ちらし寿司を食中毒の原因にするあたり
出題者の品位を疑う。面白いと思っているのか?
「これおもんないで、自分」と言ってやりたい。

 

 


39-192 今回の件を踏まえ、調理従事者に衛生教育を実施することになった。

重点的に行う内容として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

 

調理従事者への衛生教育で重点的に行う内容」は、

当然ながら今回の食中毒の原因になったものについてである。

そのため、前問の原因をもとに、適した対策を教育しなければならず

それを踏まえると、⑶ 手洗い及び手袋着用に関すること。が最も適した選択肢となる。

 

なお、下記に示すように

加熱不足や器具の殺菌不足による食中毒の場合は

これらの選択肢が正答にもなりうる。

 

⑴ 食材料の検収・保管に関すること。

→不適切な保管温度などで食中毒が発生した場合。

⑵ 加熱調理食品の加熱温度管理に関すること。

→不十分な加熱により食中毒が発生した場合。

⑷ 調理機器および調理器具の洗浄・殺菌に関すること。

→調理機器や調理器具の汚染により食中毒が発生した場合。

 

 

 

これはあまり行わないでほしい戦略だが、

191で作業工程表が出ている時点で

192の解答は

・不十分な加熱  ・手洗いまたは手袋未着用(素手で触った)

と絞ることができる。

さらに、「中心温度の計測や加熱が不適切であった」旨の説明が問題文中にないため

国家試験の特性上、

正答を選ぶための情報が不足した状態で

「⑵ 加熱調理食品の加熱温度管理に関すること。」を正答にはできない。

ゆえに、「(3)しか選ぶことができない。」となる

※どうしても解答を出せず、時間が余っている場合の奥の手として理解しておいてほしい。

 

文責:アヒル


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