39-184 この時点での対症療法として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
問題文には、「解熱鎮痛薬服用6日目に、心窩部痛と食欲不振が出現した。」とある。
多くの解熱鎮痛剤には胃や腸を荒らす副作用(消化管の潰瘍)があり、
心窩部痛は、それが現れたものと考えられる。
消化管の不調や、食欲不振が現れていることから、
それらが解消されるまでは、経静脈栄養を用いる方が良いと考えられる。
※解熱鎮痛剤の副作用を知らなくとも、食欲不振と書いてあるのでそこだけ注目すれば良い。
ちなみに半分が優しさで出来ている某解熱鎮痛剤の「優しさ」成分は「胃を守る成分」
そして半分も入っていない。(重量で1/4ぐらい。)
⑴ 経鼻胃管栄養法
⑵ 胃瘻栄養法
消化管、特に胃が荒れていると考えられるので、
消化管を利用するこれら2つは不適となる。
そして、上記の通り、経静脈栄養法のいずれかを用いることになるが
ここでの判断基準は問題文中の
「入院加療の必要性はないと担当医が判断し、在宅で加療することとなった。」である。
入院の必要はない=長期間の加療を必要としない(様子見)
なので、比較的短期間での対処であると考えられ、
〇⑶ 末梢静脈栄養法 が最も適している。
⑷ 中心静脈栄養法
こちらは、主に2週間以上の長期の加療の場合に用いるものなので不適と考えられる。
39-185 担当医の指示により、在宅で3日間の対症療法を行った。
バイタルサインを確認した後に、把握すべき所見として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
問題文中に「口渇」「濃縮尿」など脱水を想定できるものがあるため
それらを検討する必要がある。そうなると〇⑶ ツルゴールが適切な解となるが、
別の切り口で考えてみると、この問題で見るべきは
「在宅で3日間の対症療法、バイタルサインを確認後、把握すべき所見」なので
3日で変動しうる指標を考えれば良い。
極端な例を出すと、身長などは3日で増減しないので見る必要がない。
⑴ 認知機能
脳梗塞の既往歴があるので、認知機能の状態は気にかける必要があるが
脳梗塞直後ではないので、3日程度で大幅に変わることは滅多になく、第一に見る項目ではない。
⑵ 下腿周囲長
下腿周囲長は骨格筋量や、体脂肪量を見るための指標である。
高齢であるため筋肉量や栄養状態の指標としてみる必要はあるが
3日間で大きく変動する項目ではないので、第一に見る項目ではない。
〇⑶ ツルゴール
ツルゴールは脱水を確認するための指標のひとつである。
脱水は数日の間に進行したり、回復したりするのでこの項目がただしい選択肢となる。
加療直前の脱水症状が改善したか診ていることになる。
⑷ 眼球結膜の黄染
眼球結膜の黄染は、いわゆる黄疸である。
問題文から、この患者が黄疸が生じる疾患を持っているとは断定できず
積極的に診る項目からは外れる。
上記のように、その項目は3日間で変動するか?に着目すると
解ける問題であった。
39-186 担当医の訪問から4日目になると食欲が出てきて、患者は訪問介護員に食材の購入依頼を行い、おかゆを少しずつ食べ始めていた。数日後に訪問看護師から「心窩部痛はあるものの、全身状態が改善している。おかゆの他に何か食べたそうにしている。」と連絡があった。患者が希望する副食のうち、管理栄養士が勧めるものとして、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
問題文中に「食欲が出てきた」とあるので、経口摂取に移行できる状態となり、おかゆを始めた。
さらにその数日後、「おかゆ以外にも何か食べたそうにしている」とあるので、
その意思を尊重して、積極的に経口摂取を促したい。
しかしながら、まだ、心窩部痛はあるので消化管のダメージは多少残っていると考えられ
胃粘膜へのダメージの少ない、食べやすいものを選ぶ必要がある。
⑴ 麻婆豆腐
湯豆腐であれば、胃に優しく、潰瘍の回復のためのたんぱく質も摂取できるので
適していると考えられるが、麻婆豆腐は辛味による胃への刺激が強く不適である。
⑵ 筑前煮
筑前煮の主な材料となる根菜類などは食物繊維が多く硬いので、
咀嚼しづらい+胃の中を物理的に刺激するので不適である。
※1週間、絶食やおかゆだけの生活をすると
それだけで極端に顎の力が弱まるので
その状態での根菜類はそもそも噛めない。
⑶ ビーフシチュー
ビーフシチューは、脂質が多く胃での滞留時間が長くなる。
胃での滞留時間が長いとそれだけ胃への負担が高まるため、この患者には適さない。
〇⑷ とりつくね煮
鶏肉は、低脂質高たんぱく質なので、(3)のような胃への負担が少なく、
また、回復に必要なたんぱく質をしっかりと摂取できる。
さらにつくねは、すり身にし煮ることで軟らかくなっており比較的食べやすい。
文責:アヒル