39-121 55歳、男性。会社員。運動習慣なし。電車通勤片道1時間。健康診断で高尿酸血症を指摘され医療機関を受診した。医師より薬物治療を勧められたが、本人の希望で服薬せずに食事療法を開始することになり、栄養食事指導を行った。身長170cm、体重65kg、BMI 22.5kg/m2。空腹時の血液検査値は、血糖95mg/dL、HbA1c 5.3%、尿酸8.2mg/dL、LDLコレステロール125mg/dL、HDLコレステロール65mg/dL、トリグリセリド115mg/dL。表は、患者から聞き取った普段の食事内容である。優先すべき栄養食事指導の内容として、最も適切なのはどれか。

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39-121  55歳、男性。会社員。運動習慣なし。電車通勤片道1時間。健康診断で高尿酸血症を指摘され医療機関を受診した。

医師より薬物治療を勧められたが、本人の希望で服薬せずに食事療法を開始することになり、栄養食事指導を行った。

身長170cm、体重65kg、BMI 22.5kg/m2

空腹時の血液検査値は、血糖95mg/dLHbA1c 5.3%、尿酸8.2mg/dLLDLコレステロール125mg/dLHDLコレステロール65mg/dL、トリグリセリド115mg/dL

表は、患者から聞き取った普段の食事内容である。優先すべき栄養食事指導の内容として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

 

 

⑴ 主菜(魚、肉、卵、大豆)の量を少なくする。

⑵ 卵は1日に1個までにする。

⑶ 野菜料理を追加する。

⑷ 禁酒を勧める。

 

厚生労働省. 『第39回管理栄養士国家試験の問題(午後の部)』(2025) .

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428961.pdf, (2025年4月20日閲覧)

解答・解説を見る

問題文に「高尿酸血症を指摘され・・・」とあるので

この時点で、まず、高尿酸血症に関する食事療法を検討できるようになってほしい。

ただし、この問題では健康な場合でも明確に摂取し過ぎているものがあるため

そこがわかれば問題ない。

 

⑷ 禁酒を勧める。

正しい。流石にこれしかない。

まず健康日本21では、

生活習慣病(NCDs)のリスクを高める量を飲酒している者の減少」という目標で

純エタノール換算で男性で40g以上女性で20g以上飲酒者を減らす目標を立てている。

※男女で基準値が違うことに注意。

 

この患者の食事記録には「焼酎 (25度)360mL」とあり

「アルコール度数25度 = 体積の25%がアルコール」なので

計算すると360 mL × 0.25 = 90 mL

アルコールは1 mL = 0.8gなので

90 mL × 0.8 = 72 g(純エタノール量)となる。

 

この時点でこの患者は

高尿酸血症の有無に関わらず飲酒のしすぎとなる。

国家試験においてこれだけの過剰飲酒を許容し

他の選択肢が正答になることは考えにくいので

優先すべき栄養食事指導の内容として、最も適切なものは(4)となる。

純エタノールの換算&健康日本21の目標を覚えていればある程度対応できた。
※ここで純エタノールの計算をさせる布石は打たれたので
 今後の国試で計算させられる可能性がある。
「純エタノール20g未満のものはどれか?」など。

 

⑴ 主菜(魚、肉、卵、大豆)の量を少なくする。

⑵ 卵は1日に1個までにする。

確かに、肉や魚などのたんぱく質の取り過ぎは、

結果としてプリン体の過剰摂取につながる可能性があるが

一方で、卵や大豆は比較的プリン体の少ない食品であるため

たんぱく質の摂取源として積極的に利用したい

そのため、これらふたつの選択肢は「最も適切な選択肢」には該当しない。

 

⑶ 野菜料理を追加する。

食事内容で、野菜料理が比較的少ない(味噌汁の具、温野菜1回程度、肉野菜炒め)ことや、

野菜の摂取は、プリン体の排泄促進につながる(尿のアルカリ化)ことなどから、

野菜を増やすことは高尿酸血症の対策として有効である。

しかしながら、この問題では(4)に関連した

アルコール摂取をやめさせる方が先決であるため

この選択肢は「最も適切な選択肢」には該当しない。

※○ではあるが◎ではない。

 

文責:アヒル


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