39-115 静脈栄養法に関する記述である。

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39-115 静脈栄養法に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

⑴ 末梢静脈栄養では、2,500kcal/日の投与ができる。

⑵ 末梢静脈栄養では、浸透圧比(血漿浸透圧との比)5とする。

⑶ 脂肪は、1.5g/kg/時の速度で投与する。

⑷ 中心静脈栄養では、糖質濃度20%の維持液の使用が可能である。

⑸ 中心静脈栄養は、経腸栄養に比べてバクテリアルトランスロケーションを起こしにくい。

厚生労働省. 『第39回管理栄養士国家試験の問題(午後の部)』(2025) .

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428961.pdf, (2025年4月20日閲覧)

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⑴ 末梢静脈栄養では、〔 1,200kcal/日 〕の投与ができる。

末梢静脈栄養では、濃い(高浸透圧の)輸液を投与できないため比較的、薄い輸液を投与することになる。

その薄い輸液を2000kcalや2500kcal分も投与すると

大量の輸液を入れることになり、心臓などの循環器に負担がかかる。

そのため末梢静脈栄養では、〜1200kcal/日程度までしか投与できない。

※ちなみに、36-115, 34-114において、
「(誤)末梢静脈栄養では、2,000kcal/日の投与ができる。」という選択肢が出題されている。
この選択肢で「2,000kcalは多すぎる」と理解できていれば今回の2,500kcalが多すぎることも想像できた。

 

⑵ 末梢静脈栄養では、浸透圧比(血漿浸透圧との比)を〔 3以下 〕とする。

末梢静脈栄養では、浸透圧比を1〜3程度とする。浸透圧比5は高すぎる

末梢静脈に、濃い(浸透圧の高い)輸液を投与すると炎症を起こしたりする可能性があり、

浸透圧比を1〜3程度(血液の浸透圧の1倍〜3倍程度)にするのが望ましい。

※ちなみにこの問題も36-115に「(正)末梢静脈栄養では、浸透圧比を3以下とする」
という正文の選択肢が登場している。

 

⑶ 脂肪は、〔 0.1g/kg/時以下 〕の速度で投与する。

脂肪は脂肪乳剤として投与するが、一度に大量に投与すると

血管が詰まるなどの症状(血栓症や脂質異常症など)を示すため

それらを回避するために0.1g/kg/時間以下で投与する。

つまり0.1g/kg/時間が上限で、それ以上は不適となる。

※ちなみに、36-115, 34-114において、
「(誤)末梢静脈栄養では、脂肪は1.0g/kg/時間以下で投与する。」という選択肢が出題されている。
この問題の選択肢も過去問周回で「1.0gは多すぎる。0.1g程度」と覚えていれば対応できた。

 

⑷ 中心静脈栄養では、糖質濃度20%の維持液の使用が可能である。

正しい。中心静脈栄養では、糖質濃度15~35%程度の輸液を使用することができる

一方で、末梢静脈栄養では、糖質濃度7.5〜12.5%程度までしか使用できない

どちらかを覚えて、もう片方は2倍くらい(or 半分くらい)で覚えておけば

国試の問題は対応できる。

※34-114に出題されている。以下同じ

 

⑸ 中心静脈栄養は、経腸栄養に比べてバクテリアルトランスロケーションを〔 起こしやすい。

経静脈栄養などで腸管を使用しない状況が長期間続くと、

腸管表面の細胞が萎縮しボロボロになり、腸内細菌や細菌が生み出す毒素

腸管から体内(血管内)へと移行してしまう

これをバクテリアルトランスロケーションという。

上記の通り、バクテリアルトランスロケーションのきっかけは

経静脈栄養などで腸管を使用しない状況が長期間続くことなので

中心静脈栄養はバクテリアルトランスロケーションを起こしやすい

 

文責:アヒル


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