血中カルシウム濃度低下の問題ですが、考え方は血糖値と同じです。
低下したら「正常値まで上げる」、上昇したら「正常値まで下げる」
これをホメオスタシス(恒常性)と言います。
言われてみれば当たり前のことですが、これを意識して問題を見ると学習効率が上がります。
(1) カルシウムの腸管吸収率が〔 上がる 〕。
血中カルシウム濃度は低下しているので上げなければいけません。
そのときに小腸から(食物から)のカルシウム吸収は増やすべきでしょうか?減らすべきでしょうか?
当然増やすべきですよね。したがって吸収率は上がります。
(2) 活性型ビタミンDの産生が〔 促進 〕される。
活性型ビタミンDのはたらきの一つに「腸管でのカルシウム吸収効率を上げる」というものがあります。
(1)をもとに考えると、活性型ビタミンDはたくさん作るべきでしょうか?合成を抑制すべきでしょうか?
当然、「促進されるべき」となります。
※メカニズムとしては「副甲状腺ホルモン(PTH)によって腎臓でのビタミンDの活性化が進む。」などありますが
「血中カルシウム濃度を上げるためにどうするか?」を考える方がわかりやすいと思います。
〇(3) 骨吸収が促進される。
正しい文章です。低下した血中カルシウム濃度を上昇させるために「骨吸収(骨を削る)」が促進されます。
「骨吸収」と「骨形成」で混乱しがちですが「骨を形成」する方を覚えればなんとか区別がつくと思います。
(4) 尿細管でのカルシウムの再吸収が〔 促進 〕される。
「尿細管で再吸収する」=「尿として捨てずに体内に戻す」ということなので
血中カルシウム濃度が下がっているときに「再吸収して体内に戻すべき」でしょうか?「再吸収せずに体外へ捨てるべき」でしょうか?
当然ながら体内に戻さないといけませんよね。したがって「再吸収は促進」されます。
(5) カルシトニンの分泌が〔 抑制 〕される。
カルシトニンは「骨形成」にはたらくホルモンです。つまり血中のカルシウムを骨に貯蔵する働きがあります。
くどいようですが、血中カルシウム濃度が下がっているときに
「血中のカルシウムをどんどん骨に貯蔵すべき」でしょうか?「貯蔵を一旦止めるべき」でしょうか?
当然、後者ですよね。したがって骨形成に働く「カルシトニンの分泌は抑制」されます。
文責:アヒル