38-72 脂質代謝に関する記述である。

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38-72 脂質代謝に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

⑴ 食後は、血中VLDL濃度が低下する。

⑵ 食後は、リポたんぱく質リパーゼが活性化する。

⑶ 食後は、ホルモン感受性リパーゼが活性化する。

⑷ 空腹時は、血中遊離脂肪酸濃度が低下する。

⑸ 空腹時は、肝臓でケトン体合成が抑制される。

厚生労働省. 『第38回管理栄養士国家試験の問題(午前の部)』(2024) . https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001218343.pdf, (2024年 7月10日閲覧)

解答・解説を見る

 

(1) 食後は、血中VLDL濃度が〔 上昇 〕する。
VLDLは食事由来の脂肪(TG)やコレステロール(Ch)から合成され、それらを「肝臓から全身へ運ぶ」はたらきがあります。
ですので血中VLDL濃度は食後に上昇します。
同様に「食事由来の脂質を小腸から肝臓へ運ぶ」はたらきのあるキロミクロン(カイロミクロン)も食後に増加します。

 

(2) 食後は、リポたんぱく質リパーゼが活性化する。
正しいです。リポたんぱく質リパーゼは、リポたんぱく質(VLDLやキロミクロン)に含まれる脂肪を分解する酵素です。
酵素が活性化するのは、その酵素が分解するターゲットが増えているときなので、(1)の解説の通り食後に活性化されます。

 

(3) 食後は、ホルモン感受性リパーゼの活性が〔 抑制される 〕。
ホルモン感受性リパーゼは「アドレナリン」というホルモンによって活性化される酵素です。
アドレナリンは、グルカゴンなどと同様に「血糖値を上げるホルモン」です。
したがって「アドレナリンが分泌されるとき」=「血糖値をあげたいとき」=「空腹時」となり、ホルモン感受性リパーゼは空腹時に活性化されることになります。

尚、もっと簡単に覚えたい場合は、
「ホルモン感受性リパーゼ」=「リポたんぱく質リパーゼ“じゃない方”」で覚えるとわかりやすいです。
ホルモン感受性リパーゼ=「食後、満腹時にはたらく、リポたんぱく質リパーゼ“じゃない方”」=「空腹時にはたらく酵素」
と連想できると思います。

 

(4) 空腹時は、血中遊離脂肪酸濃度が〔 上昇 〕する。
空腹時にヒトは血糖の代わりに脂肪酸を利用して活動します。(※脳や赤血球など一部の組織は除く)
したがって、空腹時には脂肪細胞から脂肪酸を取り出してきて、血流に乗せて全身の組織へと運びます。
この結果、空腹時には血中の遊離脂肪酸濃度は上昇します。

 

(5) 空腹時は、肝臓でケトン体合成が〔 促進 〕される。
空腹時にケトン体が合成される
肝臓はケトン体を合成できるが、利用することはできない」はそのまま丸暗記してほしいぐらいの頻出項目です。
詳しく説明すると、(4)のように空腹時は脂肪酸をアセチルCoAへと変換し、TCA(クエン酸)回路〜電子伝達系でエネルギー産生を行いますが、
空腹時(糖が不足しているとき)は、グルコースからピルビン酸経由で合成されるオキサロ酢酸が不足し
TCA回路をうまく回せなくなってしまいます。その結果、余ったアセチルCoAはケトン体として変換され体内で利用されるようになります。

 

 

文責:アヒル


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