(1) 食後は、血中
VLDL濃度が〔
上昇 〕する。
VLDLは食事由来の脂肪(TG)やコレステロール(Ch)から合成され、それらを「肝臓から全身へ運ぶ」はたらきがあります。
ですので血中VLDL濃度は食後に上昇します。
同様に「食事由来の脂質を小腸から肝臓へ運ぶ」はたらきのあるキロミクロン(カイロミクロン)も食後に増加します。
〇 (2) 食後は、リポたんぱく質リパーゼが活性化する。
正しいです。リポたんぱく質リパーゼは、リポたんぱく質(VLDLやキロミクロン)に含まれる脂肪を分解する酵素です。
酵素が活性化するのは、その酵素が分解するターゲットが増えているときなので、(1)の解説の通り食後に活性化されます。
(3) 食後は、ホルモン感受性リパーゼの活性が〔
抑制される 〕。
ホルモン感受性リパーゼは「アドレナリン」というホルモンによって活性化される酵素です。
アドレナリンは、グルカゴンなどと同様に「血糖値を上げるホルモン」です。
したがって「アドレナリンが分泌されるとき」=「血糖値をあげたいとき」=「空腹時」となり、ホルモン感受性リパーゼは空腹時に活性化されることになります。
尚、もっと簡単に覚えたい場合は、
「ホルモン感受性リパーゼ」=「リポたんぱく質リパーゼ“じゃない方”」で覚えるとわかりやすいです。
ホルモン感受性リパーゼ=「食後、満腹時にはたらく、リポたんぱく質リパーゼ“じゃない方”」=「空腹時にはたらく酵素」
と連想できると思います。
(4) 空腹時は、血中遊離脂肪酸濃度が〔
上昇 〕する。
空腹時にヒトは血糖の代わりに脂肪酸を利用して活動します。(※脳や赤血球など一部の組織は除く)
したがって、空腹時には脂肪細胞から脂肪酸を取り出してきて、血流に乗せて全身の組織へと運びます。
この結果、空腹時には血中の遊離脂肪酸濃度は上昇します。
(5) 空腹時は、肝臓でケトン体合成が〔
促進 〕される。
「
空腹時にケトン体が合成される」
「
肝臓はケトン体を合成できるが、利用することはできない」はそのまま丸暗記してほしいぐらいの頻出項目です。
詳しく説明すると、(4)のように空腹時は脂肪酸をアセチルCoAへと変換し、TCA(クエン酸)回路〜電子伝達系でエネルギー産生を行いますが、
空腹時(糖が不足しているとき)は、グルコースからピルビン酸経由で合成されるオキサロ酢酸が不足し
TCA回路をうまく回せなくなってしまいます。その結果、余ったアセチルCoAはケトン体として変換され体内で利用されるようになります。
文責:アヒル