38-196, 197 K 大学に勤務する、管理栄養士の資格を持つ教員である。K 大学では、不定愁訴を有する学生が多く、学生の朝食摂取状況を把握することになった。

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38-196, 197 次の文を読み「196」、「197に答えよ

K 大学に勤務する、管理栄養士の資格を持つ教員である。K 大学では、不定愁訴を有する学生が多く、学生の朝食摂取状況を把握することになった。学生 1,000 人(家族と同居の学生 500 人と一人暮らしの学生 500 人)に対して自記式質問紙調査を実施した。調査の結果、1,000 人中 400 人が朝食を欠食していることが明らかとなった。表は、居住形態別に、朝食欠食の理由をまとめたものである。

 

38-196 調査結果を踏まえて、より多くの学生が朝食を摂取するための方法を検討した。朝食摂取の自己効力感の向上を目的とした栄養教育の対象者と、その内容に関する記述である。最も適切なのはどれか。 1つ選べ。

⑴ 家族と同居の学生に対し、教員が朝食を欠食することによる健康への悪影響について話をする。

⑵ 家族と同居の学生に対し、朝食を食べてダイエットに成功した学生が、その体験談を紹介する。

⑶ 一人暮らしの学生に対し、かつて朝食を欠食していた学生が、朝食を毎日食べられるようになった工夫を話す。

⑷ 一人暮らしの学生に対し、朝食を毎日食べることで以前よりも健康的になった自分を想像してもらう。

 

38-197 朝食欠食者全員を集めて栄養教育を行った後、全員を対象に評価を行った。評価において、朝食欠食者を減らす上で重視すべき影響評価の指標である。  最も適切なのはどれか。 1つ選べ。

⑴ 朝食欠食と肥満に関する知識の変化

⑵ 朝食摂取の必要性を感じている人数の変化

⑶ 準備できる朝食のレパートリー数の変化

⑷ 不定愁訴の頻度の変化

 

厚生労働省. 『第38回管理栄養士国家試験の問題(午後の部)』(2024) .

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001218344.pdf, (2025年2月13日閲覧)

解答・解説を見る

 

38-196 自己効力感は、①達成体験(成功体験)、②代理体験、③言語的説得、④生理的・情緒的高揚により高めることができる。

その上で、問題文中に「より多くの学生が朝食を摂取するための方法を検討した」とあるため、

効果が及ぶ範囲、対象者が多い選択肢を選ぶ必要がある。

 

⑴ 家族と同居の学生に対し、教員が朝食を欠食することによる健康への悪影響について話をする。

⑵ 家族と同居の学生に対し、朝食を食べてダイエットに成功した学生が、その体験談を紹介する。

それぞれ、自己効力感の言語的説得や代理体験に当てはまるが、

そもそも「家族と同居の学生」が全体400人のうちの100人(25%)しかおらず

問題文中の、”より多くの学生”に該当しないため不適である。

 

⑶ 一人暮らしの学生に対し、かつて朝食を欠食していた学生が、朝食を毎日食べられるようになった工夫を話す。

正しい選択肢である。

かつて朝食を欠食していた学生が・・・は、自己効力感代理体験に当てはまる。

さらに一人暮らしの学生全体の75%おり、問題文中の”より多くの学生”に該当する

 

⑷ 一人暮らしの学生に対し、朝食を毎日食べることで以前よりも健康的になった自分を想像してもらう。

朝食を毎日食べることで以前よりも健康的になった自分を想像してもらうことは

行動変容を促す上で大切であるが、主に関心期への働きかけである。

一人暮らしの学生は、大半が食欲がない食べる必要性を感じないと回答しており

大半が無関心期に近い。よって、問題文中の、”より多くの学生”に該当しないため不適である。

 

自己効力感(セルフエフィカシー)とそれに影響を与える要因と例
https://nstudy.info/self-efficacy/

 

 

38-197 影響評価を選ぶ問題である。影響評価を選ぶ考え方の一つとして

企画評価:実施者側のみ(企画に無理はないか?教育者としての知識や経験があるか?)

経過評価:実施者と対象者双方に関わるもの (進捗どない?の精神。教えた知識が身についたか?継続して参加してくれているか?など)

影響評価:対象者側のみ (教育者のいないところで自発的に何か行動に移したり、意識が変わったりしたか?など)

結果評価:当初の目的が達成されたか?

のように、考えられる。

 

⑴ 朝食欠食と肥満に関する知識の変化

「朝食欠食と肥満に関する知識」は栄養教育によって生じるものであり、

栄養教育は実施者と対象者双方で行うもののため「経過評価」となる。

 

⑵ 朝食摂取の必要性を感じている人数の変化

⑶ 準備できる朝食のレパートリー数の変化

必要性を感じる人(意識の変化)や準備できる朝食レパートリー数の変化(自発的な行動の変化)は

教育者がいないところで対象者のみで起きる(起こす)ものである。そのためこの二つは「影響評価」に該当する。

その上で、ここでは

「評価において、朝食欠食者を減らす上で重視すべき影響評価の指標」を求められているため

(2)と(3)で、より朝食欠食者を減らすことにつながるのは、準備できる朝食レパートリー数の変化となり(3)が最も適切となる。

(2)は意識が変化しても、そのまますぐに行動に移せるかは疑念が残るため不適となる。

 

⑷ 不定愁訴の頻度の変化

問題文中に「不定愁訴を有する学生が多く、学生の朝食摂取状況を把握することになった。」とあるため

この選択肢は当初の目標が達成できたかをみる結果評価である。

 

 

文責:アヒル


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