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次の文を読み「197」、「198」に答えよ。 37歳、男性。妻と子ども2人の4人家族。仕事が忙しく、帰宅はほぼ毎日夜11時過ぎ。朝はぎりぎりまで寝ていて、妻が子どもの分と一緒に朝食を準備しているが、欠食。家族と一緒に食事をする頻度は週末1回程度。子どもと接する時間があまりとれず、さびしく思っている。また、この10年間、体重が増加傾向にあり、現在BMI 24.8kg/m2となり、気にしている。
会社の健康診断時に、管理栄養士が、「朝食欠食」をどう思っているかたずねたところ、「忙しくてすぐには無理だが、近いうちに改善したい」と答えたので、熟考期(関心期)にあることがわかった。
26-197 トランスセオレティカルモデル(行動変容段階モデル)に基づく、「朝食を食べること」の意思決定バランスに関する記述である。誤っているのはどれか。1つ選べ。
(1) 朝食を食べるには、朝早く起きなければならないので、大変だと思う。
(2) 朝食を食べるために、夕食を軽めにすると、減量もできるかもしれないと思う。
(3) 朝食を食べるようになると、朝食時に子どもと話ができると思う。
(4) 朝食を食べるようになると、妻も作りがいがあるだろうと思う。
(5) 朝食を食べるには、働き方を工夫して、帰宅時間を少し早くしようと思う。
26-198 その後、朝食を食べるようになった男性の行動変容を継続するために行う支援と、その技法や方法に関する組合せである。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1) 夕食の食べ過ぎを防ぐため、夜の宴会を減らすように勧める — セルフモニタリング
(2) 朝食を食べたかどうか、手帳に記録をつけるように勧める —- 刺激統制
(3) 朝食を食べられない日があっても、翌日また頑張ろうと思えば良いと話す —- 認知再構成
(4) 朝食を食べるようになって減量に成功した同僚の事例を、社内報で紹介する —- オペラント強化
(5) 朝食用に手軽に食べやすい食品の販売を、社内の売店で増やす — 情報へのアクセス面の食環境整備
26-197 トランスセオレティカルモデル(行動変容段階モデル)に基づく、「朝食を食べること」の意思決定バランスに関する記述である。誤っているのはどれか。1つ選べ。
誤っているのは、×(5) 朝食を食べるには、働き方を工夫して、帰宅時間を少し早くしようと思う。
ポイント : 「意思決定バランスとは、行動変容をすることによるメリットとデメリットのこと」
〇 (1) 朝食を食べるには、朝早く起きなければならないので、大変だと思う。
⇒朝早く起きなければならないという「デメリット」について述べている。
〇 (2) 朝食を食べるために、夕食を軽めにすると減量もできるかもしれないと思う。
⇒夕食を軽めにすると、減量できるかもしれないという「メリット」について述べている。
(3) 朝食を食べるようになると、朝食時に子どもと話ができると思う。
⇒朝食時に子どもと話ができるという「メリット」について述べている。
(4) 朝食を食べるようになると、妻も作りがいがあるだろうと思う。
⇒妻にも作り甲斐があるだろうという「メリット」について述べている。
×(5) 朝食を食べるには、働き方を工夫して、帰宅時間を少し早くしようと思う。
⇒意思決定バランスに関する記述であれば、「朝食を食べるには、働き方を工夫して、帰宅時間を少し早くしなければならないので大変だと思う。」のように、「朝食を食べる」ことに対して、「大変だ」というようなデメリット(もしくはメリット)について述べた文となる。
この文では、朝食を食べることに対するメリットやデメリットについて述べられていない。
26-198 その後、朝食を食べるようになった男性の行動変容を継続するために行う支援と、その技法や方法に関する組合せである。正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのは(3) 朝食を食べられない日があっても、翌日また頑張ろうと思えば良いと話す —- 認知再構成
(1) 夕食の食べ過ぎを防ぐため、夜の宴会を減らすように勧める
⇒刺激統制法
刺激統制法とは、望ましい行動を増やしたり、望ましくない行動を減らすために、その原因となる刺激を変えること。
(2) 朝食を食べたかどうか、手帳に記録をつけるように勧める。
⇒ セルフモニタリング
セルフモニタリングとは、自身の行動を観察し、記録すること。
〇(3) 朝食を食べられない日があっても、翌日また頑張ろうと思えば良いと話す。
⇒ 認知再構成
自分の知ったことや感じたこと、記憶に対して直接働きかけることによって、認知を修正しようと自分に働きかけること。
(4) 朝食を食べるようになって減量に成功した同僚の事例を、社内報で紹介する。
⇒ モデリング
モデリングは観察学習ともいう。他者の行動を観察することによって自分の行動を見直す。自分に年齢の近い人や環境の似た人を観察するとより効果が得られる。
(5) 朝食用に手軽に食べやすい食品の販売を、社内の売店で増やす。
⇒ 食物へのアクセス面の食環境整備
食環境には、食物へのアクセスと情報へのアクセスがあり、その中でも食物へのアクセス面とは、食物の生産から流通までの一連の流れ全てを示す。
行動変容の準備性
行動変容の準備性は、前熟考期、熟考期、準備期、実行期、維持期に分けられる。
① 前熟考期(無関心期)
6か月以内に行動を変える気が無く、指導に抵抗する場合もある。「やりたくない」、「考えてもいない」状態。
患者に思いを押し付けるだけでなく、患者の気持ちや考えていることを受け止める姿勢をもちつつ、問題への認識を促す。
② 熟考期(関心期)
行動を変えたいと思っているが、まだ迷いがある。 「そろそろ変えてみようかな」といった状態。正しい知識を伝えるとともに、行動を始めるための精神的、環境的なサポートをするなど。
③ 準備期
一か月以内に行動を変えようとしている。あるいは行動し始めている。
行動を止めてしまうのを防ぐため、患者の自己効力感を高められるようサポートする。
④ 実行期
行動の変化が起きてから6か月以内で、行動がいつまで続くかわからない状態。
⑤ 維持期
行動の変化が起きてから一定期間(6か月以上)たった状態。
維持期に入ったからといって安心せずに、その後も行動を続けられるように自己効力感を感じられるようなサポートが必要である。
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