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管理栄養士国家試験でも、頻繁に出題されている「血漿浸透圧」や「浮腫」に関する問題について掘り下げていきましょう。
目次
「浸透圧(osmotic pressure)」とは?
例えば、濃度の高い液体と濃度の低い液体を半透膜を隔てて並べた場合、濃度の高い液体の分子が濃度の低い液体の方へ移動し、濃度を一定にしようとします。この同じ濃度になろうとする圧力を「浸透圧」といいます。
「漬物」を例にしてイメージしてみましょう。
塩分濃度の高い液体に、きゅうりを入れたとします。塩分は徐々にきゅうりに移動し、漬物が完成します。これも浸透圧の力を利用しています。
「血漿浸透圧」と「膠質浸透圧」
浸透圧には「血漿浸透圧」と「膠質浸透圧」がありますがこれらの意味は微妙に異なりますので注意しましょう。
①血漿浸透圧…電解質の濃度の影響を受ける浸透圧。人間では、約290mOsmに保たれている。細胞膜及び半透膜を介する。
②膠質浸透圧…血漿タンパク質である「血中アルブミン濃度」の影響を受ける浸透圧。(アルブミンには血管内で水分を保持する役割があります。)主に血管内外での水分のやり取りを示す。約28mmHgに保たれている。
★膠質浸透圧の低下=血管外から血管内に水を引っ張り込む力は低下↓↓★
★膠質浸透圧の上昇=血管外から血管内に水を引っ張り込む力は上昇↑↑★
「膠質浸透圧」が低下するとどうなる?
膠質浸透圧が低下すると、血管外に出た水分を血管内に引き込むことができなくなった結果、浮腫が生じます。 ⦅浮腫=間質液(細胞と細胞の間の水分)が増加した状態⦆
低栄養で浮腫が生じるのはこのためです。低栄養によって低アルブミン血症となり、膠質浸透圧が低下した結果、浮腫となります。
たんぱく質の不足を主とするクワシオルコルでは、浮腫が見られるのもこのためですね。
他にも膠質浸透圧が低下する要因はいくつかあります。
「膠質浸透圧」はどのようなときに低下する?
★低栄養
…上記の文でも述べた通り、低栄養ではタンパク質の不足から低アルブミン血症となり、膠質浸透圧は低下します。クワシオルコルで見られる浮腫が例として挙げられます。
★腎機能の低下
…腎機能の低下により、タンパク質の尿中への排泄が増加し、血中のタンパク質であるアルブミンも出て行ってしまうため浸透圧は低下します。アルブミンの分子はとても大きいので、腎機能が正常な場合はほぼアルブミンが尿中へ排泄されることはありません。
★肝機能の低下
…肝臓の大切な役割として「タンパク質の合成」がありますが、肝機能の低下によってたんぱく質の合成も低下し、血中のタンパク質濃度が低下=血中アルブミン濃度の低下から浸透圧の低下を引き起こします。肝硬変などで浮腫がみられるのはこのためです。
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