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次の文を読み「188」、「189」に答えよ。  K中学校に勤務する管理栄養士である。養護教諭から、陸上部の長距離競技をしているAさんについて相談を受けた。

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 Aさんは、14歳、男子。身長170cm、体重56kg。日常生活において、動悸、息切れを自覚するようになり、運動後に尿の色が褐色になることがあったという。医療機関を受診し、血液検査値は以下の通りであった。
 赤血球数300×104/mm3、ヘモグロビン9.6g/dL、MCV 86fL(基準値79~100)、MCH 32pg(基準値26~34)、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL。


30-188 この男子中学生に認められる病態である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
(1)鉄欠乏
(2)血球破壊
(3)腎機能障害
(4)循環血漿量の減少


30-189 この男子中学生への対応方針である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
(1)本人にビタミン・ミネラルのサプリメントを紹介
(2)本人に補食の摂り方を指導
(3)保護者にレバーを使用した献立を紹介
(4)陸上部のコーチに練習量を減らすように進言

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30-188 この男子中学生に認められる病態である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。

最も適切なのは、(2)血球破壊


<血液所見について>

①赤血球 低値:300×104/㎜3(基準値400~500×10^4/㎜3)
②ヘモグロビン 低値:9.6g/dL(基準値13.5~16.9g/dL)
③MCV 正常:86fL(基準値79~100fL)
④MCH 正常:32pg(基準値26~34pg)
⑤尿素窒素 正常:12㎎/dL(基準値7~20㎎/dl)
⑥クレアチニン 正常:0.9㎎/dL(基準値0.8~1.3㎎/dl)
 この男子の場合、血球(赤血球)の破壊による溶血性貧血が疑われる。
 溶血性貧血の症状としては動機や息切れ、めまいなど。
 運動後に認められる褐色尿などの着色尿は、尿の濃縮・ミオグロビン尿・ ヘモグロビン尿・血尿などが原因となり、溶血性貧血では、急激な赤血球の破壊によって尿中へ多量のヘモグロビンが出ることによって褐色尿が出る。


<30-188 他の選択についての検討>

(1)鉄欠乏=鉄欠乏性貧血と考えると、MCV、MCH、MCHC全てが低下するはずである。しかしこの男子中学生の場合、MCV、MCHともに正常値であるため、鉄欠乏は適切とは言えない。

(2)血球破壊

(3)腎機能障害ではクレアチニンの値や尿素窒素は上昇する。しかし、この男子中学生の場合クレアチニン値や尿素窒素の上昇は見られないため、腎機能障害は適切ではないと判断した。

(4)循環血漿量の減少は、手術や外傷による多量の出血や脱水が主な原因で、ショック症状(循環血液量減少性ショック)を起こすこともある。この問題文の内容からは、循環血漿量の減少の原因や症状とみられる内容がみられないため、適切ではない。

 


30-189 この男子中学生への対応方針である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。


最も適切なのは、(4)陸上部のコーチに練習量を減らすように進言


 一般的な貧血とは別に、運動による貧血をスポーツ性貧血、(希釈性貧血、運動性溶血性貧血)などと呼ぶ。
 特に運動性溶血性貧血は、運動時の足の裏からの衝撃により赤血球が変化し、壊れやすくなることによって起こるともいわれており、マラソンやバレーボール、バスケットボールなどの走ることが多い選手によく見られる。

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